楽天は競合じゃない? CCCとSMBC「Vポイント連合」、見え隠れする思惑:誕生20年・日本最大規模に(1/2 ページ)
カルチュア・コンビニエンス・クラブは、自社グループが手掛ける「Tポイント」と、三井住友フィナンシャルグループの「Vポイント」を統合すると発表。単一のポイントサービスとしては日本最大級となる見通し。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は6月13日、自社グループが手掛ける「Tポイント」と、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)の「Vポイント」を統合すると発表した。単一のポイントサービスとしては日本最大級となる見通し。統合後は新生「Vポイント」として2024年春に再スタートを切る。同日開催の記者会見で、両陣営で形成する“Vポイント連合”は「楽天ポイント」や「dポイント」など他社事業を「競合ではない」とする見解を示したものの、データマーケティングという別のアプローチで対抗しようとする姿勢が見え隠れする。
「特定の経済圏に縛られないポイント」強調
Tポイントの有効会員数は1億2600万人、Vポイントは2000万人。単純合計で1億4600万人と会員数では日本最大級になる。だが、プレスリリースで「特定の経済圏に縛られないポイント」と訴求しているように、経済圏の形成には否定的だ。
他にも、全国約15万店あるTポイント提携先での利用や、SMBCが手掛けるクレジットカード事業を背景にした世界1億店以上のVisa加盟店での利用などポイントの「貯まりやすさ」を強調している。
若干異なる主要各社のポイント事業
では、競合の状況はどうか。主なライバルと目されるのが、「Ponta」(ポンタ、ロイヤルマーケティング)、「楽天ポイント」(楽天グループ)、「dポイント」(NTTドコモ)だ。一見、同じポイント事業に見えるが、その事業内容は各社で若干異なる。
Tポイントは03年に始まり、コンビニやドラッグストア、飲食店など各業界から参画事業者を募り、「共通ポイント」によるアライアンス化で事業を拡大してきた。共通ポイントは業界内では当時、画期的な取り組みだったため、ポイント業界内では老舗とされている。運営元CCCが22年10月に公開した公式Webサイトの情報によると、全国5218社、約14万6000店舗で利用可能だという。
Tポイント同様に、ポンタも共通ポイントで利用者を拡大してきた。運営元ロイヤルマーケティングは自社の公式Webサイトで、会員数1億1305万人、提携店舗数28万店舗、提携社・ブランド数142社・190ブランドと公表している。会員数でポンタを上回っており、Tポイントの会員数は「日本最大級」と言っても問題ないだろう。
ポイントビジネスとして始まったTポイントやポンタに対し、楽天ポイントはECサイト「楽天市場」、dポイントは携帯電話事業など別事業を背景に発展してきた。自社の主要事業の決済手段としての利用や加盟店数の増加などで、楽天は会員数1億以上、累計発行ポイント数は3兆ポイント(22年7月時点)、dは会員数9324万、2426億ポイント(22年12月)とそれぞれ巨額のポイントを生み出し、独自の経済圏を形成している。
特に楽天は、楽天市場の利用でのポイント還元によって、自社クレジットカード発行枚数を増やすとともに莫大な決済手数料を得ていることなどから「楽天経済圏」というワードを公の場で強調することが多い。
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