東日本大震災の経験を経て、帰宅困難者約1.4万人受け入れ可能に
「逃げ込める街」への転換を目指してきた同社だが、東日本大震災の経験が大きな転機となった。
六本木ヒルズの開発中は、被害にあった人々が一時的に集まる防災拠点を目指していた。しかし、東日本大震災によって帰宅困難者の問題が顕在化。家に帰るのを急ぐ人、帰れずに会社にとどまる人、行き場がない人……。東京の道路は交通渋滞が発生し、緊急車両すら通れない状況となった。実際、当時は六本木ヒルズに約120人が身を寄せ、一夜を明かしたという。
震災が起こった翌年、同社は港区と協定を締結。有事の際は六本木ヒルズで帰宅困難者5000人を受け入れるという協定を結んだ。以降、物件ごとに協定を結び、2024年現在は森ビル全体で約1万4000人を受け入れられる体制があるという。
1万4000人分の3日間3食分の備蓄品を用意しており、今の逃げ込める街は防災拠点としての機能だけでなく、一時滞在施設の機能も持っていることが分かる。
備蓄品は地下倉庫や、ビルの各フロアに設けられた備蓄用の倉庫で管理。こうした備蓄品は5年ごと、または3年ごとに入れ替えているという。期限が近くなった備蓄品は廃棄せず、有効的に活用。消防訓練に参加した人や地域の防災訓練での配布、NPO法人などを通じて全国で物資を必要とする人たちにも送っている。
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