連載
仕事が遅い部下に“あるテクニック”を教えたら、「チーム全体の残業時間」が3割減ったワケ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/5 ページ)
仕事の効率化や部下育成に悩む上司やリーダーは、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
「タイムボクシング」がタスク処理をカンタンにした事例
税理士事務所で働くAさん(28歳)も、タイムボクシングによって大きく仕事の生産性をアップさせた若者だ。
Aさんは、かつて複数のクライアント対応に追われる毎日だった。確定申告の時期になると、中小企業のオーナーからの電話対応、書類の確認、データ入力、税務相談など、さまざまなタスクが押し寄せる。彼女は常に「今これをやるべきか、それとも別のことをやるべきか」と迷いながら仕事をしていた。
そんな彼女がタイムボクシングを導入してみると、劇的な変化が起きた。
具体的には、以下の通りだ。
- 午前8〜10時は集中力が高いので、複雑な税務計算作業
- 午前10〜11時はクライアントからのメール対応
- 午後1〜3時はクライアント訪問
- 午後4〜5時は資料整理など翌日の準備
このように時間帯ごとにタスクを割り当てたのだ。
「作業の種類ごとに時間を区切ることで、頭の切り替えがスムーズになりました」
とAさんは語る。
以前は一日中いろいろな作業をごちゃ混ぜにしていたので、集中力が分散していた。しかしタイムボクシングにより、特定の時間は特定の作業だけに集中した。そうすることで、効率が格段に上がったのだ。
特に効果的だったのは「急ぎではない電話対応」の時間を午後2〜3時に固定したこと。クライアントにも「この時間帯なら確実に連絡がつく」と周知した。すると無秩序な割り込みが減少した。結果としてミスも減り、適切な優先順位でタスク処理できるようになった。
「タイムボクシングは単なる時間管理ではなく、私の仕事の質そのものを変えてくれた」とAさんは満足げに語っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?
「上司として、どう答えていいか分からなくて……」 ある大手製造業の部長から相談されたのは、不思議な話だった。
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
もしこんな相談を受けたら、決して避けてはいけない。上司がどう向き合うべきか解説する。
「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇
この認識のズレが、若手社員の成長を阻害する要因にもなっている。
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」
部下が報連相しようとしたときの上司の何気ない「ある一言」が、部下の心を萎縮させているのだ。