「今年の新人は受け身だな」と決めつける前に、上司のあなたが自覚すべきこと:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)
「なぜ私は新入社員に嫌われているのか……」 ある課長が悩みを深めていた。
アナロジー思考の鍛え方、3つのステップ
アナロジー思考は誰でも鍛えられる。具体的には次の3つのステップを実践してみよう。
「これは何に似ているか?」と問いかける
部下の行動や態度に接したとき、「これは何に似ているか?」と自問する習慣をつける。最初は意識して行う必要がある。
朝の会議で黙っている部下を見たら「これは何に似ているか?」と考えてみる。「朝は頭が回らない自分に似ているかも」「初めての合コンで緊張している状態に似ているかも」など、いくつかの例えを思い浮かべてみるのだ。
自分の経験を引き出して共通点を探す
自分の過去の経験や、見聞きした出来事から共通点を探す。「この状況は、私が転職したときの状況に似ているな」「このプレゼンは、子どもの授業参観に似ているかも」といった具合に。共通点を見つけることで、新たな視点が生まれる。
具体策を実践する
アナロジーから得た視点をもとに、具体的な対応策を考える。「転校生のように緊張しているなら、まずはランチに誘ってみよう」「授業参観なら、発表者をほめることが大事だな」といった具合に、アナロジーから実践へとつなげるのだ。
アナロジー思考は単なる言葉遊びではない。実際の行動変容につなげてこそ価値がある。日々の小さな実践を積み重ねることで、次第に思考の習慣となり、レッテル貼りの誘惑にも負けなくなるだろう。
まとめ
新入社員に対してすぐに「やる気がない」「向いていない」とレッテルを貼ってしまう上司は、自らマネジメントの可能性を狭めているだけである。アナロジー思考を取り入れることで、部下への見方が変わる。仕事が嫌いな自分への見方も変わる。
「いま見えているもの」に振り回されず、「かつての似た出来事」をヒントにすること。それが、成長を支える上司の条件だ。ついつい部下にレッテルを貼ってしまう全ての上司に、アナロジー思考を持ってもらいたい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。しかし――。
新入社員「Web会議でカメラオンにする必要なくないですか?」 上司のあなたはどう答える?
「上司として、どう答えていいか分からなくて……」 ある大手製造業の部長から相談されたのは、不思議な話だった。
部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
もしこんな相談を受けたら、決して避けてはいけない。上司がどう向き合うべきか解説する。
「お前はどうしたい?」しか言わない上司の自己満足 「考えさせる風」コミュニケーションが招く悲劇
この認識のズレが、若手社員の成長を阻害する要因にもなっている。
部下が相談する気をなくす、上司の無神経な「たった一言」
部下が報連相しようとしたときの上司の何気ない「ある一言」が、部下の心を萎縮させているのだ。
「自責思考を持て」という“無敵論法”の危うさ 素直な若手ほど潰れるワケ
上司から「自責の念を持て」「他人のせいにするな」と言われた経験はないだろうか。