三菱UFJ銀行「社内ビジコン」が活況 「ただのアイデア大会になる」企業と何が違うのか(1/3 ページ)
「期待したほど応募が集まらない」「本気のアイデアが出てこない」「一度落選すると、翌年挑戦してくれない」――。新規事業創出の有効な手段として、「社内ビジネスコンテスト」を導入している企業は少なくないが、このような運営上の課題に直面するケースが多く見られるのが現状だ。今回は、そんな社内ビジコンを成功させている、三菱UFJ銀行の取り組みを紹介する。
本記事の内容は、グッドパッチが4月21日に開催したセミナー『-三菱UFJ銀行の新規事業担当者が語る-社員のモチベーションを上げビジネスコンテストを成功させた裏側の仕組み』の内容を要約したものです。
「期待したほど応募が集まらない」「本気のアイデアが出てこない」「一度落選すると、翌年挑戦してくれない」――。
新規事業創出の有効な手段として、「社内ビジネスコンテスト」を導入している企業は少なくない。しかし、冒頭のような運営上の課題に直面するケースが多く見られるのが現状だ。単発の施策で終わらせず、社員の挑戦意欲を持続させ、質の高いアイデアを生み出し続けるためには、どのような「仕組み」が必要なのだろうか。
三菱UFJ銀行(以下、MUFG)とグッドパッチ(以下、Goodpatch)が共催したオンラインセミナー「三菱UFJ銀行の新規事業担当者が語る 社員のモチベーションを上げビジネスコンテストを成功させた裏側の仕組み」では、まさにこの問いに対する具体的なヒントが示された。
MUFGで社内ビジコン「Spark X」を運営する杉山真実氏、丸山美生氏、そして同プログラムの参加者フォローアップを務めたGoodpatchの島田賢一氏、秋山さくら氏が登壇。参加者のモチベーションを高め、「再挑戦したくなる」環境をいかにデザインしたのか、その実践知が語られた。本レポートでは、その要諦を明かしていく。
3年間で1300件の事業案が集まった、社内ビジコン「Spark X」
MUFGの杉山氏は、同行の新規事業創出プログラム「Spark X」の概要を以下のように紹介した。
「Spark Xは、2021年に設定されたMUFGのパーパス『世界が進むチカラになる。』を起点とし、社員が持つ『Will(思い)』に基づいた新規事業案をボトムアップで募集・育成するプログラムです」(杉山氏)
2022年度に開始し、2025年で4期目を迎えるこのプログラムには、グループ22社から延べ1000人超が応募し、3年間で約1300件の事業案が集まった。現在までに7件の事業が採択され、金融にとどまらない多様な領域で事業化に挑戦しているところだ。
順調に見えるSpark Xだが、運営を続ける中で課題も浮き彫りになってきた、と杉山氏は語る。
「初年度と比較すると、新規事業案の応募件数は減少傾向にありました。惜しくも落選してしまった方々への体系的なフォロープログラムが不足していること。また、応募アイデアに込められた顧客価値や熱量の言語化が不十分であることが理由なのでは、と考えていました」(杉山氏)
これらの課題、特に「落選者フォロー」と「アイデアの質向上」という点に対応すべく、MUFGはGoodpatchと協業し、挑戦者限定フォローアッププログラム「Relight」を導入した。
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