なぜ「OJT」ばかりの企業に若者は定着しないのか? 上司が部下育成を勘違いする理由:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/5 ページ)
「うちはOJTで育てる」と胸を張る企業がある。OJTとはOn-the-Job Trainingの略で、現場で実務を通じて部下を育てるやり方だ。一見すると効率的で理にかなっている。しかし、このOJT偏重の企業は、実のところ若者の定着率が低いようだ。
なぜ会社はOJTだけに頼るのか? 学校と塾のように育成手法も“複線化”すべき時代
会社がOJTだけに頼る原因は「社員教育は上司がするもの」という古い思い込みにある。しかしこの発想は時代にそぐわなくなってきている。
現代の教育環境を見てみよう。中学生や高校生は学校だけで勉強しているだろうか? 答えはノーだ。ほとんどの生徒が塾や予備校に通い、オンライン教材やYouTubeなどの動画を活用して学んでいる。
さらに注目すべきは学校側の変化だ。かつて「塾は敵」と考えられていた時代もあったが、今では「この塾の問題集がおススメ」「あのYouTuberの解説が分かりやすい」と教師自身が外部リソースを積極的に推薦するようになった。教育の複線化が当たり前になっているのだ。
企業も同様の変化が必要である。「うちの会社はOJTで育てる」と言いながらも、実は上司が適切な指導をする時間も能力も持ち合わせていない場合が多い。そんな上司が若者に対して「ダメ出し」を続けても、成長は望めない。
上司に頼るのではなく、外部の専門家による研修、オンライン学習、サブスクなど、複数の教育チャネルを組み合わせるべきだ。「社員教育は会社の責任」という原則は変わらない。その方法は時代とともに進化させる必要がある。
まとめ
若者が「OJT」だけの企業に定着しない最大の理由は「成長実感が得られない」ことだ。特にZ世代と呼ばれる若者たちは、個人の成長と自己実現を重視する傾向が強い。
彼ら彼女らが求めているのは、体系的に学び、着実に成長していく実感だ。教えるプロでもない上司からのOJTだけでは「今の自分がどのレベルなのか」「何を学べばさらに成長できるのか」が分からない。将来のキャリアも十分に描けないため、成長機会を求めて転職を考えるようになる。
OJTの限界を認識し、上司も一緒に学ぶ姿勢が求められている。
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