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なぜ、仕事ができない人ほど「コツ」を知りたがるのか?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/7 ページ)
成果が出ない部下ほど「秘訣」や「コツ」に飛びつく――それはなぜか? 現場での20年超の支援経験から見えた理由を解説する。
なぜ基本を避けて秘訣を求めるのか
この傾向は営業だけではない。あらゆる分野で見られる現象だ。
ダイエットも同じである。私の知人で、10年間ダイエットに失敗し続けている人がいる。彼女は新しいダイエット法が出るたびに飛びつく。
「朝バナナダイエット」
「糖質制限ダイエット」
「16時間断食」
全て試したが、どれも続かない。なぜか?
基本的な生活習慣が乱れているからだ。毎日深夜2時まで起きている。朝食は菓子パン。昼食はコンビニ弁当。夕食は午後9時過ぎ。運動はまったくしない。ストレスは暴飲暴食で解消する。
この状態で「痩せる秘訣」を求めても無意味なのだ。まずは規則正しい生活。バランスの取れた食事。適度な運動。十分な睡眠。これらの基本ができてはじめて、ダイエット法の秘訣が生きてくるのだ。
では、なぜ人は基本を避けたがるのか? 答えは簡単だ。基本的なことは退屈で地味で時間がかかるからである。
営業活動の基本も、ダイエットの基本も、実はみんな知っている。生産性を上げる方法も、人間関係を良くする方法も、お金をためる方法も、健康になる方法も、ほとんどの人は理解している。
知っているけれど、やらない。
なぜやらないのか? それは「もっと楽な方法があるはずだ」という幻想を抱いているからだろう。努力せずに成果を出す魔法のような方法があると信じているからだ。
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