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なぜ、仕事ができない人ほど「コツ」を知りたがるのか?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/7 ページ)
成果が出ない部下ほど「秘訣」や「コツ」に飛びつく――それはなぜか? 現場での20年超の支援経験から見えた理由を解説する。
秘訣ビジネスのわな
この心理につけ込んだビジネスは山ほどある。
「たった3分で英語がペラペラに」
「1日5分で月収100万円」
「飲むだけで10キロ痩せる」
書店に行けば、こんなタイトルの本が山積みだ。基本的なことを書いた本は売れない。「英語は毎日2時間勉強しましょう」では誰も買わない。「営業は足で稼ぎましょう」では見向きもされない。
だから著者も出版社も「秘訣」「コツ」「裏技」といった言葉を使う。そして読者は、次から次へと新しい本を買い続ける。本棚には自己啓発書が並ぶが、人生は何も変わらない。
研修業界も同じだ。私も研修講師として活動しているが、受講者から必ず聞かれる。
「何か特別なテクニックはありませんか」
「もっと簡単な方法はないですか」
「すぐに効果が出る秘訣を教えてください」
正直に「地道な努力が必要です」と答えると、がっかりした顔をされる。アンケートには「新しい発見がなかった」と書かれる。だから多くの講師は、受講者が喜ぶ「秘訣」を用意するのだ。
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