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なぜ、仕事ができない人ほど「コツ」を知りたがるのか?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(6/7 ページ)
成果が出ない部下ほど「秘訣」や「コツ」に飛びつく――それはなぜか? 現場での20年超の支援経験から見えた理由を解説する。
成功者は秘訣を自分で編み出す
では、本当に成功している人たちはどうか?
私がこれまで出会ったトップパフォーマーたちには共通点があった。彼・彼女らは秘訣を聞きたがらない。むしろ基本動作、基礎知識の重要性を説く。そして基本を徹底的に実践したうえで、自分なりの工夫を加えていく。
ある製薬会社のトップセールスは、12年間、毎朝1時間前に出社し、その日の訪問先の情報を30分かけて調べている。医師の専門分野、最近の論文、学会発表の内容まで把握する。この基本活動の上に、独自の提案手法を構築していった。
別の保険会社のエースは、20年間欠かさず手書きの礼状を送っている。メールが主流の時代に、あえて手書きにこだわる。「たった10分で終わりますよ」と笑って言うが、年間100通以上書き続ける根気があってこそ、顧客との圧倒的な信頼関係を生んでいるのだと思う。
彼らに「秘訣は何ですか」と聞くと、決まってこう答える。
「特別なことは何もしていません。当たり前のことを、当たり前にやっているだけです」
これは謙遜ではない。本音である。成功者にとって、基本の徹底は「当たり前」なのだ。その上で試行錯誤を重ね、自分なりの秘訣を見つけていく。他人の秘訣をまねるのではなく、自分で編み出すのである。
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