「後はやっとくね」が部下をつぶす――令和のマネジメントに潜む“やさしい絶望”:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/4 ページ)
フィードバックを途中で終える“優しすぎる上司”が、若手の成長機会を奪ってしまう実態に迫る。
上司が逃げる2つの典型的パターン
昭和の時代なら、部下が途中から不機嫌になったとしても、上司はお構いなしだ。途中で言っていることが変わったとしても、「私が上司だ。文句があるか」という態度で押し通した。
しかし、現代の上司は弱腰だ。多くの上司が部下に気を使い、時には逃げの姿勢に転じる。その典型的なパターンが2つある。
妥協してしまうパターン
期待していた成果の60〜70%の出来栄えで妥協してしまう。
「あまりやり直しをさせると部下との関係が悪化するかもしれない」
「フィードバックの仕方に問題があった。私が悪い」
このように考え、「もういいよ」と部下へのフィードバックを途中でやめてしまうのだ。そしてこのまま経営会議に提出してしまう。当然、上司が納得できるレベルに達していないため、期待通りの成果は出ない。
「なんだ、この企画書は?」
と社長に責められても、部下のせいにはできない。「申し訳ありません」と責任をとることになる。これは一見、部下を思いやる行為のように見えるが、実際は成長機会を奪っていると言える。
自分で引き取ってしまうパターン
もう一つは、仕上げを引き取ってしまうパターンだ。
「ありがとう。ここまでやってくれれば十分だ。あとはこちらで仕上げるから」と言って、上司が仕事を引き取ってしまう。これも部下への配慮のように見えるが、同じように部下の成長にはつながらないやり方だ。
上司の期待通りの成果が出たとしても、部下のお手柄ではないからだ。
どちらのパターンも、部下に「あるべき姿に達するまでやり抜く」という貴重な経験をさせていない。料理に例えれば、いつまでも仕込みしかやらせてもらえず、最終的な味付けは先輩がやってしまう状況だ。これでは独り立ちできるはずがない。
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