「売れる」は禁句──営業会議で使うと“組織が腐る”言葉の正体:「キレイごとナシ」のマネジメント論(3/5 ページ)
業績低迷に悩む企業が、営業会議の「言葉」を変えただけで再生。組織を変える第一歩は、意外にも“言い回し”から始まった。
「売れる」と「売る」の決定的な違い
問題は「売れる」が自動詞だということ。自動詞には目的語がなく、主語も曖昧になりがちだ。
「この商品が売れるにはどうすればいいか」
この場合の主語は、商品である。一方「売る」は他動詞だ。必ず主語が必要であり、その主語は人でなければならない。
「私がこの商品を売るには」
「田中さんがこのエリアで商品を売るには」
このように表現すると、責任の所在が明確になる。誰が行動するのか、誰が結果に責任を持つのかがはっきりするのだ。
言葉の違いは思考の違いを生む。「売れる」という表現を使い続けている限り、無意識のうちに他責思考が染み付いてしまう。商品が悪い、タイミングが悪い、市場が悪い。そのような発想から抜け出しにくくなる。
自動詞と他動詞の使い分けを意識するためにも、主語をきちんと使うべきだ。特に個人名を主語にする。そうすることで、具体的で責任感のある表現になる。
主語を変えるだけで組織が変わる理由
言葉が思考を作り、思考が行動を作る。この原理を理解すれば、なぜ言葉づかいの変更が組織変革につながるのかが見えてくる。
営業会議で使う言葉を変えた結果、以下のような変化が起きた。
責任感がアップした
「私が売る」という表現により、個人の責任意識が格段に高まった。誰かが買ってくれるのを待つのではなく、自分が売りに行く姿勢に変わったのだ。
具体的なアクションをするようになった
主語が明確になることで、誰が何をするのかがはっきりした。曖昧な戦略論ではなく、具体的なアクションプランが生まれるようになった。
成果に対する当事者意識が芽生えた
「売れない」理由を外部要因に求めるのではなく、「売る」ために自分たちに何ができるかを考えるようになった。
このように、たった一つの動詞を変えただけで、組織全体の思考パターンが劇的に変化した。言葉の持つ力は想像以上に大きい。日常的に使っている表現が、知らず知らずのうちに組織文化を作り上げているのだ。
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