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半分に削れば“2倍”伝わる――「メタボな話し方」をやめるコツ:「キレイごとナシ」のマネジメント論(5/6 ページ)
情報過多の時代に、あえて“話を削る”という選択が、相手に伝わる力を倍増させる――その理由と方法を解説する。
半分に削って2倍伝わる話し方
先日、ある経営者から印象的な話を聞いた。『フランス人は10着しか服を持たない』(大和書房)という本を読んで、プレゼンの極意を学んだという。フランス人は服を10着ほどに絞り込む。しかし、それは決して窮屈ではない。むしろ、シンプルに整理することで、自分らしさが際立つのだという。
話し方も同じではないか。情報を詰め込めば詰め込むほど、かえって伝えたいことが埋もれてしまう。
ある営業部長は、新商品の提案資料を半分に削ったという。もともと20枚あったプレゼン資料を、思い切って10枚に減らしたのだ。確かに説明したいことはまだまだあった。しかし「商品の特徴を先に伝えるか、顧客の課題を先に伝えるか」と考えた末、顧客視点で資料を組み立て直した。すると、かえって反応が良くなったという。
「細かい説明は、関心を持ってもらってから後日させてもらえばいいんです。むしろ、最初に全部話してしまうと、顧客が消化不良を起こしてしまう」
まさにフランス人のクローゼットと同だ。最初から情報をフルで出す必要はない。周りから「話が長い」「回りくどい」といわれる人は、思い切って3分の1に削ってみるのもいい。スライドなら10枚を3〜4枚に。足りない情報があれば、相手の反応を見ながら足していけばいい。
集中力には限りがある。多くを語れば語るほど、相手の理解は深まるわけではない。むしろ必要最小限に削ぎ落とすことで、伝えたい本質が際立つ。シンプルに整理することは、相手への最大の配慮なのだ。
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