“静かな解雇”を生む「AI格差」 部下を捨て、AIを選ぶ日が来る?:「キレイごとナシ」のマネジメント論(4/5 ページ)
ある中堅企業の部長は、つい半年前まで人手不足に頭を悩ませていた。ところが今、悩みの種は別のところにある。
「人手不足だからクビにならない」は幻想
「人手不足だから大丈夫だろう」
そう高を括っている人は危険だ。
確かに労働市場全体では人手不足だ。しかし職種によっては「人余り」が始まっている。
特に新卒やエントリーレベルの職種において人余りは顕著だ。生成AIがコーディングや資料作成を代替し始めたことで、一部の企業は新卒採用を絞りはじめた。
企業が求めているのは、AIを使いこなせる人材か、またはAIが模倣できない高度な対人スキルを持つ人材だ。単なる「作業員」ではない。
IBMやMetaなどの大手テック企業は、AIへの転換を理由に数千人規模の人員削減を行った。これは「静かな解雇」を超えた、明確な構造改革である。
「うちの会社は大丈夫」
そう思っているなら、考え直したほうがいい。大手企業で起きていることは、いずれ中小企業にも波及する。それが時代の流れだ。
上司が今すぐやるべき3つのこと
では、マネジャーはどう対応すべきか。以下の3つを意識してもらいたい。
- 部下のAIリテラシーを把握する
- 「静かな退職」の兆候を見逃さない
- AIと共存するキャリアパスを示す
まず(1)について。部下がAIをどの程度使いこなせているか、把握しているだろうか。
「AIなんて使ったことがない」という部下がいたら、それは危険信号だ。今すぐ学習の機会を与えるべきである。
次に(2)だ。「静かな退職」をしている部下は、「静かな解雇」の候補になりやすい。兆候を早めにキャッチし、対話の機会を設けることが重要だ。
最後に(3)だ。AIに仕事を奪われる恐怖を煽るのではなく、AIと共存するキャリアパスを示す。
「AIを使いこなせば、こんな仕事ができるようになる」
そんな未来を見せることで、部下のモチベーションは変わる。
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