コラム
» 2007年04月16日 10時00分 公開

第15回 焼酎原酒マニアックス+D Style 本格焼酎ぐびなび

本格焼酎好きという人の中でも、とりわけ酒好きという人にオススメ、「通」好みの原酒をたくさん紹介。

[橋本裕之(デジほん),ITmedia]
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 本来、本格焼酎はアルコール度数が25度というのが一般的。これは蒸留したばかりの焼酎が、この度数なのではなく、蒸留したものに水を加くわえてやり25度に調整しているのだ。一方、これをほとんど加水しないものが、いわゆる「原酒」と呼ばれる酒である。

 今までの連載でも、第4回では、芋焼酎の原酒の初留取り「万暦」(鹿児島・西酒造)。粕取り焼酎の(日本酒の醸造過程で出来上がった酒粕から造った焼酎)「日高見」(宮城・平孝酒造)。樽で熟成させるタイプの麦焼酎「百年の孤独」(宮崎・黒木本店)。第5回では「松の露 原酒」(宮崎・松の露酒造)、「綺羅綺羅星(きらきらぼし)」(宮崎・桜乃峰酒造)、「拾五歩(じゅうごねんのあゆみ)」(宮崎・寿海酒造)、「月の中 原酒」(宮崎・岩倉酒造場)と、宮崎の芋焼酎の芋の原酒を4種類といろいろ紹介してきたわけだが、もちろん、紹介したかったけど、触れられなかった「原酒」はまだまだたくさんある。

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 今回は連載第2回にも登場した五反田の内藤商店に再度うかがって、社長の東條さんに話をうかがいながら、焼酎の原酒、そして熟成酒の魅力に迫ってみたいと思う。

 五反田にある「内藤商店」は焼酎だけでなく、日本酒、ワインほか社長の東條さんのこだわりのお酒が数百種、所狭しと並んでおり、いつ来ても圧倒される。本日もオススメの「原酒」を教えてほしいというオーダーに快く応えていただいた。20種類以上すすめていただいたものからピックアップして紹介しよう。

 まずは東條さんの一押しでもある、黒糖焼酎の原酒から。左から「長雲 大古酒」(奄美大島・山田酒造)は、なんと20年熟成である。1万円という価格も納得する。本来の「長雲」のパンチのある深い甘みから、非常にまろやかに変化している。続いて「六調 原酒」(奄美大島・大島食糧株式会社酒造所)、熟成してさとうきび本来の甘さだけが引き出されてきて、香りは樫樽やシェリー樽を思わせるような上品さを感じた。

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 その隣の沖永良部の「天下一 寿 12年」(沖永良部・新納酒造)は、さらにその上をいく、上品さがあり、ブルゴーニュワインのような気品にみちた趣である。最後に一番右のバーボン樽で長期熟成させた「昇龍 BARREL 1983」(沖永良部・原田酒造)は、ウイスキーを思わせるような樽の香りと黒糖の甘みの調和が素晴らしい。こちらのお酒は、いずれもストレートかロックで味わうといいだろう。特にロックは氷を徐々に溶かしながら、味の変化を味わえるはずだ。

 東條さん曰く「さとうきびが持っている、独特の複雑な味わいが、熟成することによって、まろやかに洗練されていく」ので、黒糖焼酎の持っているポテンシャルは、原酒で熟成に向いているということだそうだ。確かに芋の熟成した原酒よりも、時を経た変化は、より楽しめるように感じる。こうやって飲んでいると黒糖焼酎はやっぱり原酒のほうが美味いのではと思えてくる。まあ、筆者は普段からラムが好きでよくストレートで飲んでいるからかもしれないが……。ともかくどの酒も長期熟成の良さが出た黒糖焼酎だった。

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 続いて芋焼酎の原酒を紹介。一番左の「松露原酒」(宮崎・松露酒造)は、スッキリしながらも芋の風味を損なわない味わいに芋の品質の良さを感じる。宮崎の芋焼酎の原酒ならではの味わいといえるだろう。鹿児島・鹿屋の神川酒造「別撰神川 原酒」は「かめ仕込みにかめ貯蔵」の芋焼酎の原酒。蒸留の際に末垂れ(蒸留の最後のほうの部分、雑味がでてくるいので、最近はカットしてスッキリした味に仕上げる蔵も多い)もあえて多く入れているようで、まさしく本格派の芋焼酎の味。こちらも芋本来の味を残したまま、とても飲みやすく仕上がっている。

 また、同じく鹿屋の蔵元、大海酒造協業組合の「海からの贈り物 2005」は毎年、杜氏である大牟禮氏がテーマを決めて1タンク分限定で造るお酒で、今年の麹は、黄麹に麹米は「ひとめぼれ」、さらに日本酒の7号酵母を使用しているそうだ。芋焼酎でも、どこか日本酒を思わせるようなタッチが特徴的である。こちらは以前、蔵を訪れたことがあり、その時もこの「海からの贈り物」の話をうかがった。この焼酎にかける杜氏の意気込みやチャレンジスピリットは特筆すべきものがあると思っている。

 この3種類の原酒も、芋やの香りを楽しむのならストレートで楽しもう。度数が高くやや飲みづらいという人はキンキンに冷やして飲むのもいいだろう。

 今回は黒糖、芋の原酒を紹介したが、次回ではさらに深い原酒の世界を見ていただきたいと思う。

内藤商店

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【住  所】東京都品川区西五反田5-3-5

【電  話】03-3490-6565

【営業時間】9:30〜22:30

【定 休 日】日・祝



著者紹介

橋本 裕之(ハシモト ヒロユキ)

有限会社デジほん社長 SSI認定焼酎アドバイザー。

株式会社ダイヤモンド社で編集者として『旨い!本格焼酎』(著・山同敦子)の企画、編集などに携わる。また、モバイルサイト情報誌『iして! ケータイサイトの歩き方』の編集統括を務めた以降はモバイル業界に関わるようになり、株式会社ドワンゴを経て、2005年6月に独立し有限会社デジほんを設立。デジタル、アナログを問わず、コンテンツを広くプロデュース、運用している。最近ではスケート界の裏を深くえぐった『愛するスケートに何が起こったのか?』(著・渡部絵美)を手がけている。


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