コラム
» 2007年09月25日 06時00分 公開

キカイだけで理想を具現化してみせたXAの中身-コデラ的-Slow-Life-

ジャンクで購入した「OLYMPUS XA」の初期症状は、シャッター不良。フェザータッチのシャッター部を分解してみると、動作原理はあくまでもキカイ式であった。

[小寺信良,ITmedia]

 さて、ジャンクで購入した「OLYMPUS XA」の初期症状は、シャッター不良である。セルフタイマーのスタートはシャッターボタンのきっかけで動作するので、シャッターボタンそのものが壊れているという線はなさそうだ。

photo まずはカバー部を外してみる

 フィルムの巻き上げダイヤルも動かないが、これはチャージされているものの、シャッターが下りないままになっているからだろう。露出計は問題なく動いている。

 電子式回路が多いカメラのレストアは難易度が高いと言われているが、幸いにしてXAは人気のある機種なので、レストア情報も豊富である。まずはレンズカバーを外すために、底面のねじから外していく。ダイヤルが上部にあるため、上部の軍艦部から外してみる。


photo フェザータッチのシャッター部。だが動作原理はあくまでもキカイ式であった

 シャッターはフェザータッチなので、静電気か何かを使っているのかと思ったら、微細な接点を絶縁体で積層化して、それを少し斜めに傾けることで接点がくっつく構造であった。こんな機構で精度や耐久性はどうなのと思ってしまうが、現在も問題なく動いていることが設計の正しさを物語っている。


photo ゆるんでいたバネを発見。だがここだけでは動かない

 だがシャッター周りの機構は上部にはなく、どうもメカニカルな部分は下にあるようだ。続いて下カバーを開けてみる。よく観察すると、バネがどこにも引っかかっておらず、ゆるんでいる部分を発見。正しいと思われる状態にセットしてみるが、あいかわらずシャッターは降りない。ここも問題の1つだろうが、まだ故障個所はあるようだ。

外見に似合わず中身はキカイだらけ


photo シャッターと連動するレバーを発見

 さらに観察を進めると、レンズ下にレバーが出っ張っている。ここを指で押してみたところ、シャッターが切れた。どうもメカ的には、どこかが固着している状況でもなさそうだ。レバーを何度か触って感触を確かめると、ペタペタくっつく感じがする。粘って張り付いているわけではなく、どうも電磁石でこのレバーを動かすことでシャッターを切るという仕組みではないかと思われる。

 そう考えてみると、いかにも指で押してくださいと言わんばかりにレバーが突き出しているのがおかしい。このレバーを押す機構は、どこにもないのである。

 さらに注意深く観察すると、カメラ前面にあるバネが、テンションが緩んでいるように思える。片方は見える部分に引っかかっているが、反対側はレンズ部の奥に消えている。しかしレンズ部の奥には、何かを押さえておかなければならないパーツらしきものはない。

 もしかしたらこのバネは、本来先ほどのシャッターを動かすレバーに引っかかっているべきものではないか。

 いろんなレストアサイトで写真を確認したが、あいにく解像度が低く、髪の毛のように細いバネまでは写っているものはなかった。


photo レバーにバネを引っかけてみると、無事動作した

 試しにいったんこのバネを外し、シャッターを動かすレバーに引っかけてみる。電池を入れてシャッターを押してみると、無事シャッターが動いた。どうもバネが2カ所外れてしまったのが、動作不良の原因だったようだ。

 おそらく落としたか、長時間振動にさらされたかで、バネが外れてしまったのだろう。

 ここのところ、すごく簡単な修理で済んでいるものが続いているので、もしかしてジャンクというのはおおむねこんな程度かと思われるかもしれないが、そんなことはない。これでも一応状態が良くて、不良具合の目星が付きそうなものを選んで買っているのである。

 また素人が直したものをヤフオクなどで完動品として売るのは、カメラレストアの世界では「外道」とされている。このあたりは、古き良き中古カメラの世界を長く楽しむために、守っていかなければならないオキテなのである。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。



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