第5鉄 飛行機に乗らない日こそ羽田空港へ行く――東京モノレール杉山淳一の+R Style(2/2 ページ)

» 2009年05月15日 20時35分 公開
[杉山淳一,ITmedia]
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羽田空港は一大エンタテイメント

 現在、モノレールの車両には4タイプの塗装が施されている。窓下に赤い帯を配した車両は2000形。1997年に登場した新型で、扉が両開きになっている。オレンジの帯は1000形。1989年製で扉は片開き。1000形には特別塗装車が1編成ずつ。上がクリーム色、下が水色と青の車両は東京モノレールが開業した1964年の塗装を復元している。そしてもう1つ。オレンジ帯にポケモンのキャラクターをあしらった「ポケモンモノレール」がある。

 東京モノレール羽田線の起点、浜松町駅付近にはポケモングッズの専門店「ポケモンセンター」がある。終点の羽田空港第2ターミナルからはANAがポケモンジェットを運航している。つまり、ポケモンモノレールはふたつのポケモンスポットを結ぶ列車だ。東京モノレールではWebサイトで運行時刻を公開している。点検などで運行しない日もあるので、お子様を連れて出かけるならご確認を。

 昭和島駅を出るといよいよ空港が見える。車窓左側がオススメの理由、その2つめはもちろん羽田空港だ。しかし、やっと飛行場が見えたと思ったら、列車は高架からいきなり地下に潜ってしまう。再び地上に上がるとそこはもう空港島。整備場駅付近には報道用ヘリコプターや海上保安庁の格納庫がある。旅客機としては全機が引退したYS11型も、海上保安庁ではまだまだ現役だ。

車窓から第1ターミナルと滑走路が見える(左)。待機中の旅客機も見える(右)

 ここで列車は再び地中へ突入する。横風用のB滑走路をくぐり抜けるためだ。その滑走路の端にあたる場所に天空橋駅がある。ここは京浜急行との連絡駅で、京浜急行はここからずっと地中を走る。しかしモノレールはまたまた浮上。A滑走路の南西に出る。赤い尾翼のJAL機が並んでいて、遠くに第1ターミナルビルが見える。車窓右手は多摩川の河口。対岸には様々な形の工場街。その景色もまた面白い。そして列車は再び地中へ。左にカーブしてA滑走路の下を走り、新整備場、羽田空港第1ビル、羽田空港第2ビルの順に停車する。

 羽田空港にはレストランやお土産屋だけではなく、本、紳士服、婦人服、宝石、キャラクターグッズなど様々なショップがある。書店は航空機関系の専門書が多く、都内の有名店のお土産が買える。その中でも私のお気に入りはエアライングッズショップ。ANAなら「ANA FESTA」、JALなら「ブルースカイ エアラインショップ」となる。文具など、航空会社のロゴ入りグッズはカッコいいし、飛行機をテーマとしたおもちゃも楽しい。旅行カバンなど旅のグッズは、種類が少ないものの厳選され、いかにも「旅のプロ御用達」という雰囲気だ。

働く自動車が大好きなボクも大満足。エアラインショップでこれらのクルマのミニカーを買えば、空港の景色を家で再現できるぞ

 ショッピングを楽しんだら飛行機を眺めよう。展望デッキでは、爆音とかすかな油の匂いが離着陸の迫力を感じさせてくれる。そこも楽しいけれど、間近に観たいなら、大型ガラス越しに飛行機を見られるレストランに行こう。私のお気に入りは第1ターミナルの「エアターミナルキハチ」と第2ターミナルの「餉餉」。どちらもビュッフェスタイルで食べ放題。窓からはボーディングブリッジで出発を待つ飛行機と滑走路がよく見える。

第2ターミナル展望デッキからの眺め(左)。レストランからはこんなに近くに飛行機が見える(右)

 飛行機に乗らなくても楽しい羽田空港。唯一の欠点は、飛行機や旅人を眺めるうちに、遠くへ行きたくなってしまうことだろうか。そんな気持ちをグッと抑えて、帰りはモノレールで夕暮れの東京湾岸を眺めるとしよう。もちろん車窓は左側。都会に沈む夕陽と夜景も見事である。

今回の電車賃

東京モノレール羽田線 浜松町−羽田空港第2ビル 470円。往復で940円。

※週末に東京近郊から出かけるなら「ホリデーパス」が便利。東京近郊のJR路線と東京モノレール、りんかい線が1日乗り放題になる。おとな2300円。


著者プロフィール:杉山淳一

著者近影(2006年5月に閉館した、東京・万世橋の交通博物館にて)

 肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」

 コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。

 趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は「知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)」、「A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)」など。


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