デジカメは外部の光をレンズを通じて撮像素子へ当てることで、撮影を行います。この光のコントロールは写真の大前提とも呼べるもので、実際に撮影する際には、撮像素子へ光を「どれだけの量」「どのくらいの時間」当てるかが大きなポイントになります。
この光を取り込むことを「露出」と呼び、写真の“明るさ”に直結します。そして、この露出はどれだけの光の量を撮像素子に当てるか調整する「絞り」と、どのくらいの時間光を撮像素子に当てるかをシャッターの開閉時間で調整する「シャッタースピード」によって決定されます。
まずはこの絞りとシャッタースピードの関係を理解することから始めましょう。
先ほど、どれだけの光の量を撮像素子に当てるか、調整する機構が絞りだと説明しました。レンズの中には絞り羽根という部品が入っており、これを変形させることで、レンズを通過する光の量は調整されます。この変形させる度合いが「F値」です。数値が小さければ小さいほど大量の光を通すので明るい写真となり、大きければそれだけ光を遮断し暗い写真となります。
シャッタースピードはシャッターの開いている時間のことで、シャッタースピードが1/100秒といえば、シャッターの開いている時間は1/100秒という意味です。シャッタースピードを速くすると、シャッターが開いている時間が短くなるため、光が撮像素子に当たる時間が短くなり、写真は暗くなります。逆に、シャッタースピードを遅くすると光が撮像素子に当たる時間が長くなり、写真は明るくなります。
このように写真の露出は絞りとシャッタースピードの組み合わせによって決まりますが、どのような値を組み合わせても適切な露出になる訳ではありません。絞りが小さく、シャッタースピードが遅ければ写真は明るすぎてしまい「露出オーバー」と呼ばれる状態になりますし、絞りが大きく、シャッタースピードが速ければ「露出アンダー」と呼ばれる暗い写真になってしまいます。
ですが、絞りが小さくても(光をあまり取り込まなくても)シャッタースピードが遅ければ(光を長時間取り込むので)適切な明るさになりますし、絞りが大きくても(光をたくさん取り込む)、シャッタースピードが速ければ(光を短時間だけ取り込むので)、結果的には同様に適切な明るさになります。適切な明るさになる絞りとシャッタースピードの組み合わせは複数あるのです。
このコントロールをカメラによって自動的に行うのが「自動露出」です。実は露出については、撮像素子がどれぐらい光に対して敏感に反応するかを示す「ISO感度」という値も関係しますが、これについては次回で説明します。
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