秋になると何気ない草花や木々を撮りたくなるのはいつものこと。秋らしい植物を撮りながら、ぶらぶら散策したくなるというわけで今回は、はじめてデジタル一眼をもって散策する人のために、って感じでシンプルにいこう。
草花を撮りたいなら、撮影モードは絞り優先(モードダイヤルだと「Av」など表記されている)で。プログラム(P)やオートだと、晴れた日だと特に、すぐ絞り値をF8とかにしたがるからだ。
たとえば、デジタル一眼のレンズキットに付属するズームレンズはたいてい望遠側でF5.6が絞り開放になる。F5.6で撮ったのは左の写真。しかし、これがF8になると右の写真のようになる。
背景の感じがずいぶん違う。F16まで絞るとここまで背景がくっきりする。
コンパクトデジカメだと被写界深度が深い(ピントの合う範囲が広い)ので、F8とかF16とかの感じになるはずだ。
全体にくっきりした写真にしたい場合にしろ、背景や前景をボカしたいときにしろ、それを自分でコントロールするには絞り優先は必要不可欠なのだ。
ちなみに、もっと明るい単焦点レンズを使うとさらにぐぐぐっとボケる。
背景がこれだけボケると単焦点レンズが楽しくなってくる。
ただし、レンズが明るいということはピントの合う範囲が狭い=ピントにシビアになる。よく見ると、2枚目のコスモスはピントがほんの少しずれてる。花を撮るとき、ピントの山をどこに合わせるかは重要。で、やっぱり花びらの先っぽじゃなくて花の中心に合わせたいもの。
合わせたつもりでも、ちょっと風が吹いたりカメラを動かしちゃったりして1センチでもズレたら、ピントの山がずれちゃう。そういうシビアさもまた楽しいところで、絞りを開くか絞るかだけじゃなくて、どのくらいまでピントを合わせたいかを自分で決めるのだ。
よく見るとF1.8は手前の花の一部にしかピントが合ってない。F2.8くらいだとほどよくピントが合ってる。F5.6だと背景がくっきりしすぎてメインの花がめだたない。
そんな感じなのである。
次は色と明るさを見てみよう。
分かりやすいように、ちょいと笹を撮ってみた。
なんか青っぽくて寒々しい感じ。ではホワイトバランスを太陽光に固定してみる。
ちょっと色味がよくなった。でも日差しが当たってる手前の葉が明るすぎるためか白くなってしまっている。そこでマイナスの露出補正をかけてみる。
こんな感じかな。
昼間ならホワイトバランスはオートに頼らず「太陽光」決め打ちしちゃった方がいいケースがあるということ。そして背景が暗いときはマイナスの補正をかけた方がよかったりすること。
次はピント。
いわゆる「ミラーレス一眼」によく見られる現象で、たまに近距離にピントが合わなくなることがある。
これはどういうことかというと、ミラーレス一眼(全部がそうなのかは知らないが、少なくとも一部のモデル)は、AFを高速化するためにどのあたりにピントを合わせようとしているか予測してから微調整している。うまくいくときはいいのだが、たまにカメラが背景に注目しちゃって、近景を見てくれないことがあるのだ。
そんなときは、とりあえず近距離にあるデカいもの(地面とかでもいい)にピントを合わせて、カメラに「近距離に合わせたいのです」と教えてから撮りたい被写体にカメラを向けて合わせなおすといい。撮影最短距離より近いものを撮ろうとしない限り、経験上、だいたいそれでいける。
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