ニコンは今春、有効3630万画素のフルサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフ「D800」と「D800E」を発売し、ハイアマチュア層を中心に大きな人気を集めた。中判カメラに匹敵する精細感を、実売20万円台の価格で実現したことは画期的だった。
そして、さらにフルサイズの魅力をより幅広い層に伝えるモデルとして登場したのが、9月末発売の「D600」である。新開発した有効2426万画素フルサイズセンサーなど実用十分のスペックを持ちながら、一層の小型軽量化と低価格化を図っている。
まずは外観から見てみよう。ボディは、上面と背面のカバーにマグネシウム合金を採用した頑丈な作りだ。ボタンやダイヤルなどの各所にはシーリングが施され、D800と同等の防じん防滴にも対応する。それでいてボディサイズはD800よりも一回り小さく、重量は150グラムも軽い。大きく突き出たグリップはしっくりと手になじみ、キット付属の標準ズーム「AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR」を装着した際のバランスもいい。
ボディの左肩部分には、D800やD4のような主要設定を切り替えるためのボタンではなく、一般的なモードダイヤルを装備する。撮影モードは、P/S/A/Mのほかにシーンモードも選べる。このあたりの仕様は、D800シリーズとは異なり、むしろAPS-Cサイズセンサーを搭載した中級機「D7000」に近い。より幅広いユーザー層を意識した内容といえる。
ファインダーには倍率0.7倍、視野率100%のガラスペンタプリズムを搭載する。D800よりもボディが小型化し、高さは10ミリ低くなったにもかかわらず、視野率100%を確保したのはうれしいポイントだ。大きくてクリアなファインダー表示は、使っていて単純に気持ちがいいし、視野率100%は厳密な構図決定に役立つ。ファインダー上の格子線表示や、ファインダー下部の水準器表示(水平方向)ができる点もありがたい。
AFセンサーには「マルチCAM4800」モジュールを採用し、9点のクロスセンサーを含む39点測距に対応する。D800に比べると測距点の数が少なく、測距点がやや中央に集中しているのは残念なところ。AFスピードは軽快で、多少薄暗いシーンや動きのある被写体に対しても確実にピントを合わせられる。
液晶モニターには、約92万画素/3.2型低温ポリシリコンTFTを搭載する。まずまずの精細感があり、視認性は良好なレベル。液晶の横にあるライブビューボタンを押すと、素早く液晶画面にライブビューが表示され、部分の拡大表示やマニュアルフォーカスによる厳密なピント合わせが可能になる。
ライブビュー時のAFについては、顔認識AF/ワイドエリアAF/ノーマルエリアAF/ターゲット追尾AFという計4種類のAFエリアモードが用意される。いずれもAF方式はコントラスト検出式となり、そのスピードは遅め。動きのある被写体をとらえるのは難しい。本モデルに限った話ではないが、一眼レフ機のライブビューでのAFにはあまり期待しないほうがいい。
動画は、1920×1080ピクセル/30pのフルHDに対応し、映像圧縮にはH.264/MPEG-4 AVC方式を採用する。撮影用途に応じて「FXベース」と「DXベース」の2つのフォーマットを選択でき、DXベースでは被写体をより大きく写すことが可能だ。
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