富士フイルムから登場した、レンズ交換式FUJIFILM Xシリーズ第3弾が「FUJIFILM X-M1」だ。撮像素子には上位モデル「FUJIFILM X-Pro1」「FUJIFILM X-E1」と同様のAPS-Cサイズ 23.6×15.6ミリのX-Trans CMOSセンサーを搭載しながら、ファインダーを非搭載とするなどして小型軽量化を図っている。
詳細については製品レビューを参照して頂きたいが、今回は長期試用リポートの第一弾として、FUJIFILM X-E1ユーザーからみたX-M1という視点で各所をチェックしていきたいと思う。
クラシックカメラを連想させるフォルムは継承しており、FUJIFILM Xシリーズの製品であることを伝えてくる。X-E1ユーザーからすると驚くのがその小ささ。X-E1と同サイズのセンサー、同じレンズマウントを採用しながら、X-E1の129(幅)×74.9(高さ)×38.3(奥行き)ミリから、X-M1は116.9(幅)×66.5(高さ)×39.0(奥行き)ミリまで幅と高さがサイズダウンしている。文字通り一回り小さいという印象だ。
本体重量もX-E1比で20グラム軽くなっているが、ボディ素材に樹脂を多く利用していることから、手にした際のひんやりとした金属的な感触は少なくなっている。ただこれは両モデルを交互に手にした際に感じる印象であって、単体としてみれば見た目の安っぽさはなく、手にした際の質感も悪くない。
そしてX-E1とX-M1を比較した際、大きな違いとして挙げることができる部分のひとつが、ボタン類の配置を含めた操作系だろう。
X-E1は本体天面のダイヤルでシャッタースピード、レンズの絞りリングで絞り値の変更を行うという、今となっては希少な操作インタフェースを採用しているが、X-M1ではオートや絞り優先など12項目を備えた撮影モードダイヤルを中心とした、一般的なものが採用されている。
電子ダイヤルは天面と背面の2カ所に用意されており、絞り優先AE時ならば天面ダイヤルで露出補正、背面ダイヤルで絞り値の操作など、素早い操作が可能だ。また、背面もボタン類が液晶右側に集中するレイアウトに変更され、右手のみでAFポイントやホワイトバランス、ドライブモードなどを変更できる。
X-E1とX-M1の操作系、どちらが好ましいかは撮影者のスタイルに依存する問題であるが、シャッタースピードと絞り値を想定しながら撮影に挑むことを利用者に要求するマニュアル指向の強い(もちろんフルオートでも撮影できる)X-E1に対し、気負うことなくフレーミングとシャッターチャンスだけに集中すること“も”できるX-M1と言い換えられる。X-M1には顔優先機能も搭載されているのでより気軽に撮影できるが、欲を言えば露出補正ダイヤルは残して欲しかった気もする。
X-E1の印象が強いためにX-M1の操作系が特殊なように見えてしまうが、他社製品を視野に入れれば一般的な操作UIであり、一度カメラを構えてしまえば操作に違和感を覚えることはない。ただひとつ疑問に感じるのが、背面電子ダイヤルの押し込み操作。押し込めるのだが、基本的にはマニュアルフォーカス時の機能(ピント位置の拡大表示、MFアシスト設定切り替え)が割り振られており、AF撮影時には何の機能も割り振られていない。
この背面ダイヤルについては「押して前面ダイヤルでISO感度調整」など、いろいろ使い道は考えられるだけに少しもったいない。FUJIFILM Xシリーズはファームウェアアップデートでさまざまな改良が加えられているだけに、この部分の操作性向上も期待したいところである。
撮影時の感覚という意味ではファインダーが非搭載となり、かわりに背面液晶がチルト式になったことも大きな違いに挙げられる。上下に動くチルト液晶は3型/約92万画素とサイズ/画素数ともにX-E1(2.8型/約46万画素)を上回っており、斜めから見た際の色変化も少ない。“ファインダーをのぞき込んで撮る”という撮影スタイルがとれないことはX-E1ユーザーからみればさみしいが、小型軽量化とハイ/ローアングル撮影のしやすさという、構図自由度の対価と思えばそう悪くないと個人的には思える。
標準ズーム「XC16-50mm F3.5-5.6 OIS」は、X-E1のキットレンズ「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」に比べると全域に渡ってやや暗く、絞りリングを搭載しないなどの違いがあるものの、光学式手ブレ補正を搭載しながらも軽く、ズーム全域に渡ってクセのない描写を見せてくれる(絞り開放ではやや甘い感じが残る)。ダブルレンズキットのキットレンズである「XF27mmF2.8」を組み合わせた場合には、撮影時重量で500グラムを切ることとなり、より軽快さが際だつ。
どうしても本体の小型軽量さに目がいってしまうが、キット設定されているレンズを組み合わせると「小さなFUJIFILM X」というより「軽快なFUJIFILM X」という認識で接するほうが楽しく写真が撮れる、そんな印象を強く受けた。
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