あこがれのフルサイズ機を入手したものの、購入すべきレンズはどのようなものがいいのか悩んでいる人は多いだろう。メーカー純正の24-70ミリの F2.8通しズームは明るくて写りもよくとても魅力的だ。しかしややカバーする範囲が狭いし、手ブレ補正もない、しかも高価、などど考えている人にお勧めな1本がシグマの新製品「24-105mm F4 DG OS HSM」だ。
何よりもレンズのデザインがクールだ。82ミリの大口径は迫力がある。シグマが提案する3つの新しいプロダクト・ラインの「Art」に属するこのレンズは、ほれぼれするほど「モノ」としての質感が高い。ボディに装着してそのデザインを眺めているだけで楽しくなってくるほどである。
もちろん光学性能も高い。開放からシャープな切れ味を見せ、あらゆる収差を押さえ込んだ設計は、常用標準ズームレンズとしてあらゆる被写体に対応できるはずだ。もちろんメーカー純正で同様なレンジなものやそれを越えるズーム域のものも存在する。
しかし、このレンズを実際に自分のカメラに装着して構えてみて欲しい。金属外装のクールな感触や、やや重めなものの遊びがないズーミング感、不用意に動かないAF/MF切替およびOS(手ブレ補正機能)のON/OFFスイッチ類など、上質で硬派な写真を撮る喜びを体感できることだろう。
またオプションとして用意される「SIGMA USB DOCK」でレンズファームウエアのアップデートやフォーカス調整などができたり、将来使用カメラメーカーを変えたとしても「マウント交換サービス」でずっと同レンズを使用できる点にも留意しておきたい。
古民家に午後の太陽が差し込む様をキヤノンEOS 5D Mark IIIに装着して撮影。柱や障子のストレートな描写はもとより、畳のリアルな再現性がいい感じである。
テレ端F4開放で撮影。手ブレ補正の利きは上々で、薄暗い場所でもさほど感度を上げず、安心して被写体に向き合う事が可能だ。最近のカメラは高感度特性に優れるが、低ISOで撮影できるに越したことはない。生けられた花の生々しい感じが伝わってくる。
24-70ズームなら諦めていたカットが105ミリというテレ端のおかげで撮影可能になる。この差は大きい。開放時の背景ボケも素直で好感が持てる。
現代的な建物をあおってシャッターを切った。ローキーに補正をかけ空の深みと建物のエッジを強調してみたが、メタリックなフレームとガラス内部のワイヤーまで安定の描写を見せる。やや収差がでているがソフトウエアで簡単に修正ができる軽微なものだ。
AFは高速で街中のブラブラ撮影でもストレスを感じることはない。使いやすいズーム域とともに、感じたものを確実にシューティングしていける感じだ。スナップにはもってこいだろう。
F4開放でモデルを空ヌケで撮影。若干周辺光量落ちが気になるが、これは一段絞ればかなり改善される。モデルの瞳から髪の毛、ニット周辺の描写はキレがあっていい印象だ。また背景のボケも円形で美しく品が感じられる。
エスカレーターで移動中のモデルをISO1600に感度を上げて撮影。引きのない場所でも24ミリスタートのこのレンズなら撮影できる。重たい部類に入るレンズだが、自重のおかげと優秀な手ブレ補正の助けで実に安定したシューティングが可能だ。
最短撮影距離は45センチ。テーブル上のスイーツもテレ端で狙えばこのくらいに撮ることができる。レンジ的にテーブルフォトにピッタリかもしれない。
もちろん風景撮影にも24-105ミリというズーム域は重宝するに違いない。ワーキングディスタンスが取れない現場ではこのレンジがものをいう時があるだろう。荒々しい飛沫とその向こうに顔を出す烏帽子岩、そして山頂から雪煙を上げる霊峰富士まで、安定した描写は実に頼もしい。
(編注:本記事では一般的な撮影状態での利用を念頭としているため、人物撮影にレフ版などは利用しておりません)
(モデル:井上明香 オスカープロモーション)
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