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いつか見た、あのフィルムの色を再現できる「FUJIFILM X30」(2/3 ページ)

» 2014年09月29日 19時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]

視認性に優れた有機ELビューファインダーを装備

 ボディは、硬質な金属感とメカっぽさが際立った高品位なデザインを採用する。外装は、天面と底面がマグネシウム合金で、前面から両側面、グリップ部にかけてはラバー素材を配置。ラバー表面にはシボ処理が施され、手に取ると心地よい触感が伝わる。

 ボディのサイズは、男性の手のひらにギリギリ隠れるくらいで、コンパクトデジカメとしてはやや大柄だ。同社製ミラーレスの小型軽量モデル「X-M1」や「X-A1」に薄型レンズを装着した状態とほぼ同等のサイズ感といっていい。

 前モデルX20と比較した場合は、レトロなデザインテイストを受け継ぎつつ、ボディ各部にはさまざまな改良が施されている。中でも大きな違いは、初代モデル「FUJIFILM X10」からX20へと継承した光学ズームファインダーを廃止し、有機ELの電子ビューファインダーを新搭載したこと。

 前モデルX20のファインダーは、光学式ならではのクリアな実像が見られるメリットがあるほか、光学像に重なって撮影情報がオーバーレイ表示される独自の仕掛けがユニークだった。ただし、パララックス(ファインダー表示と撮影範囲のズレ)が生じるため、厳密なフレーミングには不向きなことや、ファインダー上でピントを確認できないといった弱点もあった。それが電子ビューファインダーに変更されたことで、ギミックとしての面白さは失われたが、実用性という点では大きく向上したといえる。

 この新開発ビューファインダーは、表示の精細感が高く、表示サイズはまずまず広い。必要に応じて、水準器やグリッド、距離指標、被写界深度といった情報をファインダー内に細かく表示できることや、カメラの向きに合わせて表示の縦横を自動回転できる点、アイセンサーによって背面モニターとの切り替えがスムーズに行える点なども便利だ。

 背面モニターには、上下方向に可動するチルト式のTFTを新搭載する。前モデルの2.8型/約46万ドットから、X30では3.0型/約92万ドットにスペックアップし、こちらも見やすさが高まっている。惜しいのは、ビューファインダーも背面液晶も、AF駆動の際に表示が一瞬静止すること。それ以外の視認性は悪くない。

FUJIFILM X30 チルト式の3.0型TFTカラー液晶モニターを搭載
FUJIFILM X30 新搭載の有機ELファインダーは0.39型で約236万ドット

FUJIFILM X30 前面上にある2つの穴はマイク/リモートレリーズ端子。デザインの見栄え的にはこの位置は少々微妙
FUJIFILM X30 ビューファインダーの左には視度調整ダイヤル、右にはアイセンサーを備える

FUJIFILM X30 従来デザインに比べると各部の丸みが取れ、より直線的に形状に変更されている
FUJIFILM X30 レンズを中央付近に配置した端正なフォルム。ダイヤル類は金属の削り出しとなる

マニュアル操作が快適な光学4倍ズームを搭載

 レンズには、前モデルから継承した光学4倍ズームを搭載する。焦点距離は35ミリ換算で28〜112ミリ相当。開放値はワイド側F2、テレ側F2.8と明るく、暗所でも感度をあまり高めずに撮影できるメリットがある。描写性能も上々で、四隅までくっきりと解像できる。手ブレ補正については、レンズシフト式を内蔵する。

 このレンズは従来モデルから継承したものだ。鏡胴部にあるズームリングの回転によって電源のオン/オフができる仕掛けや、手動で素早くズーミングができる操作感についても、従来モデルから引き継いでる。新しい工夫といえるのは、レンズの付け根部分にコントロールリングを搭載したこと。このコントロールリングの回転で、絞りやシャッター速度をダイレクトに変更できるほか、ISO感度やドライブモードなど他の機能を割り当てることも可能だ。

 AFは、像面位相差AFとコントラストAFが自動で切り替わる「インテリジェントハイブリッドAF」を前モデルから継承する。超高速とはいえないが、一般用途ではストレスを感じない程度に素早くAFは作動する。

 AFエリアは49点に対応。AFエリアの選択方法は、AFボタンを押してから十字キーで選択する従来通りのやり方に加え、背面十字キーのダイレクト操作でスムーズに切り替えることも可能になっている。

 撮影モードは、オートからマニュアルまで豊富に用意され、さまざまな特殊効果を適用できる「アドバンスフィルター」やフルHDの動画モードなどもそろっている。新機能としては、最近のトレンドであるWi-Fi機能を搭載。スマホによるリモート撮影や、画像の閲覧、転送などが行える。

FUJIFILM X30 開放値の明るい4倍ズームを搭載。レンズキャップは着脱式のものが付属する
FUJIFILM X30 鏡胴部にはマニュアル対応のズームリングと、カスタマイズ可能なコントロールリングを装備する

FUJIFILM X30 ボディ前面の専用ボタンを押すと、コントロールリングの設定画面が表示される
FUJIFILM X30 昔ながらのケーブルレリーズが装着できるシャッターボタン

FUJIFILM X30 前面の右下には、フォーカスモード切り換えレバーを装備。MF選択時は、コントロールリングの回転でピント合わせを行う
FUJIFILM X30 背面にはコマンドダイヤルやQボタン、Fnボタンなどを装備する

 個人的には、ふだんからストロボを多用しているので、従来モデルから引き続きボディ天面にホットシューを備え、外部ストロボを装着できる点や、内蔵ストロボを外部ストロボ用のコマンダーとして利用できる点が気に入った。しかも、外部/内蔵のどららのストロボを使った場合でも、シンクロ速度は最高1/4000秒に対応。このシンクロ速度の速さは、一眼レフやミラーレスカメラに勝る利点であり、下の写真のように明るい屋外でストロボ撮影したいときに威力を発揮する。

FUJIFILM X30 マニュアル(F8 1/2000秒) ISO100 WB:晴れ 焦点距離:7.9mm フィルムシミュレーション:クラシッククローム

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