ボディは、硬質な金属感とメカっぽさが際立った高品位なデザインを採用する。外装は、天面と底面がマグネシウム合金で、前面から両側面、グリップ部にかけてはラバー素材を配置。ラバー表面にはシボ処理が施され、手に取ると心地よい触感が伝わる。
ボディのサイズは、男性の手のひらにギリギリ隠れるくらいで、コンパクトデジカメとしてはやや大柄だ。同社製ミラーレスの小型軽量モデル「X-M1」や「X-A1」に薄型レンズを装着した状態とほぼ同等のサイズ感といっていい。
前モデルX20と比較した場合は、レトロなデザインテイストを受け継ぎつつ、ボディ各部にはさまざまな改良が施されている。中でも大きな違いは、初代モデル「FUJIFILM X10」からX20へと継承した光学ズームファインダーを廃止し、有機ELの電子ビューファインダーを新搭載したこと。
前モデルX20のファインダーは、光学式ならではのクリアな実像が見られるメリットがあるほか、光学像に重なって撮影情報がオーバーレイ表示される独自の仕掛けがユニークだった。ただし、パララックス(ファインダー表示と撮影範囲のズレ)が生じるため、厳密なフレーミングには不向きなことや、ファインダー上でピントを確認できないといった弱点もあった。それが電子ビューファインダーに変更されたことで、ギミックとしての面白さは失われたが、実用性という点では大きく向上したといえる。
この新開発ビューファインダーは、表示の精細感が高く、表示サイズはまずまず広い。必要に応じて、水準器やグリッド、距離指標、被写界深度といった情報をファインダー内に細かく表示できることや、カメラの向きに合わせて表示の縦横を自動回転できる点、アイセンサーによって背面モニターとの切り替えがスムーズに行える点なども便利だ。
背面モニターには、上下方向に可動するチルト式のTFTを新搭載する。前モデルの2.8型/約46万ドットから、X30では3.0型/約92万ドットにスペックアップし、こちらも見やすさが高まっている。惜しいのは、ビューファインダーも背面液晶も、AF駆動の際に表示が一瞬静止すること。それ以外の視認性は悪くない。
レンズには、前モデルから継承した光学4倍ズームを搭載する。焦点距離は35ミリ換算で28〜112ミリ相当。開放値はワイド側F2、テレ側F2.8と明るく、暗所でも感度をあまり高めずに撮影できるメリットがある。描写性能も上々で、四隅までくっきりと解像できる。手ブレ補正については、レンズシフト式を内蔵する。
このレンズは従来モデルから継承したものだ。鏡胴部にあるズームリングの回転によって電源のオン/オフができる仕掛けや、手動で素早くズーミングができる操作感についても、従来モデルから引き継いでる。新しい工夫といえるのは、レンズの付け根部分にコントロールリングを搭載したこと。このコントロールリングの回転で、絞りやシャッター速度をダイレクトに変更できるほか、ISO感度やドライブモードなど他の機能を割り当てることも可能だ。
AFは、像面位相差AFとコントラストAFが自動で切り替わる「インテリジェントハイブリッドAF」を前モデルから継承する。超高速とはいえないが、一般用途ではストレスを感じない程度に素早くAFは作動する。
AFエリアは49点に対応。AFエリアの選択方法は、AFボタンを押してから十字キーで選択する従来通りのやり方に加え、背面十字キーのダイレクト操作でスムーズに切り替えることも可能になっている。
撮影モードは、オートからマニュアルまで豊富に用意され、さまざまな特殊効果を適用できる「アドバンスフィルター」やフルHDの動画モードなどもそろっている。新機能としては、最近のトレンドであるWi-Fi機能を搭載。スマホによるリモート撮影や、画像の閲覧、転送などが行える。
個人的には、ふだんからストロボを多用しているので、従来モデルから引き続きボディ天面にホットシューを備え、外部ストロボを装着できる点や、内蔵ストロボを外部ストロボ用のコマンダーとして利用できる点が気に入った。しかも、外部/内蔵のどららのストロボを使った場合でも、シンクロ速度は最高1/4000秒に対応。このシンクロ速度の速さは、一眼レフやミラーレスカメラに勝る利点であり、下の写真のように明るい屋外でストロボ撮影したいときに威力を発揮する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR