大きく違うのは速さだ。
1つはシャッタースピード。新たに「電子シャッター」が使えるようになり、シャッタースピードは最高1/32000秒に上がった。
電子シャッターはシャッタースピードを上げられるメリットがあるが、高速な被写体を撮ると歪んで写るという欠点がある。今回、新型センサーで読み出し速度が速くなったことで、その歪みが小さくなった。安心して高速シャッターを使える。
ユニークなのはそれだけの高速シャッターを持ちながら、NDフィルターも内蔵していること。だから露出の選択範囲がものすごく広い。
同じ場所で1/32000秒と1/8秒で撮れるのだ。
普通、1/32000秒なんて高速シャッターを使える明るい場所では、どれだけ絞り込んでもスローシャッターまで持って行くのは無理だけど、内蔵NDフィルターを使ってやればそれが可能なのだ。
このレンジの広さはRX100 IVならではといって過言ではあるまい。
ISO感度はISO80から12800だが、ISO80と100は拡張ISO感度扱いで、ダイナミックレンジが狭くハイライトが飛びやすくなる。常用するならISO125からにするのがいいだろう。
もう1つは「連写」。速度優先連写(AFと露出が1枚目に固定される)だと秒16コマの連写速度を実現した。これは速い。
つまるところ、IIIとIVの差はこの「速さ」にあるとみていいわけだが、画質面でもちょっと違いがあった。
IVの方が肌色に少し赤みが乗り、緑の青さが少し抑えられている。これはセンサーの違いではなく、絵作りが微妙に変わったのだと思う。
以上のようにRX100 IVはRX100 IIIから「速さ」と「動画」を強化したカメラだ。
実売価格で10万円超とかなりの高価格であるが、4K動画やHFRでの撮影をしたい人(特に240fpsでこのクオリティで撮れるコンデジはこれだけ)や、電子シャッター&高速連写に魅力を感じるなら価格的にも納得できよう。そこまではいらない、普通にきれいな写真を撮れればOK、というのならIIIでも十分である。
ハイスピード動画はそれだけでけっこう面白いので、思い切ってIVに行っちゃうのも魅力的なんだけどね。
IVで採用された新型センサーが今後どう発展していくかはすごく楽しみ。高速読み出しのおかげで電子シャッターがより実用的になると、その速さを利用したさまざまな撮影が可能になっていきそうだからだ。小さいながら、未来を感じさせる次世代カメラである。
ただ、そろそろ2012年発売の初代機は処理速度や高感度時の画質などの面でちょっと見劣りするので、これの後を継ぐモデル(つまり、シンプルで廉価なエントリー向けハイエンド機)が出てほしいなあとは思っております。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR