APS-Cサイズのセンサーを採用するニコンDXフォーマットには、サードパーティ製品も含めると10本以上の標準ズームが用意されているが、その多くが18ミリスタートになっている。だが、広がりのある構図や遠近を強調した画面構成を楽しむには、ワイド端の焦点距離は18ミリ(27ミリ相当)ではなく16ミリ(24ミリ相当)が欲しいところ。
そんな2ミリの違いにこだわるユーザーにとって待望の製品、ニコン「AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR」が登場した。同じく16ミリスタートの純正標準ズームといえば、2008年に発売された「AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR」がこれまで人気を集めていた。それに比べると、テレ端の焦点距離はやや短くなったが、レンズの全長と重量をほぼ維持しつつ、開放値がいっそう明るくなったことも魅力の新レンズである。
レンズの外形寸法は最大径80ミリ×全長85.5ミリで、重量は約480グラム。焦点距離や開放値を考慮すれば小型軽量といえなくもないが、これを小さくて軽いと感じるか大きくて重いと感じるかは使用ボディによって異なるだろう。「D5500」や「D3300」などエントリークラスの製品では、ボディよりもレンズ側のほうが重くなってしまう。「D7200」などDXフォーマットの上位モデルでは、ボディとのバランスは良好といえる。
今回の試用では、撮影時のフットワークを優先してあえてD5500を選択した。特にレンズフードを付けた状態では、見た目にも少々フロントヘビーに感じるものの、左手でレンズを下から支えるようにして構えると安定する。
1枚目の写真は、シルエットになった夕暮れ時の展望塔を16ミリ側で捉えたもの。逆光で輝く雲を画面の上半分に大きく写し込み、巨大建造物の迫力とスケール感を引き立てた。
次もズームの16ミリ側で写したもの。F2.8という開放値の明るさを生かすことで被写体ブレを抑えつつ、水槽に接近することで画面全体をクラゲで埋め尽くし、パターンのような面白さと凝縮感のあるイメージを狙っている。
一方ズームのテレ端は80ミリ(120ミリ相当)となり、中望遠での撮影が行える。次のカットは80ミリ側を使って海辺の風景を切り取ったもの。波が押し寄せるタイミングでシャッターを切った。
最短の撮影距離は35センチで、最大撮影倍率は0.22倍となる。最近の標準ズームとしては標準的な近接性能といえる。下の写真は50センチ程度の距離から写したもの。さらに近寄って花びらの部分を画面いっぱいに写すことも可能だ。
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