外装は樹脂主体ながらしっかりとした作りだ。高級感は特にないが、かといって安っぽい印象もない。鏡胴部には先端から順に、ズームリング、距離目盛り、フォーカスリングを備え、レンズ側面にはフォーカスモード切り替えスイッチ、手ブレ補正スイッチ、手ブレ補正モード切り替えスイッチを装備。低価格レンズとは異なり、距離目盛りが省かれていない点はありがたい。
ズームリングの感触はやや重め。持ち運びの際に自重で伸びることはないが、操作感は滑らかとはいえない。フォーカスリングについてもやや引っかかる感じがあり、マニュアルフォーカスの操作はあまりスムーズではなかった。
一方でAFはスピーディに作動する。動きのある被写体に対しても狙いどおりのタイミングで撮ることができた。効果4段分をうたう手ブレ補正機構についても十分な性能を実感できた。
写りは、どの焦点距離でも画像中央部は開放値から高解像な描写を確認できた。周辺部にはやや甘さが見られるがF5.6まで絞ると全域でシャープになる。また四隅の減光や歪曲はそれなりに見られるものの、色収差は目立たないように補正されている。
下の写真は、F8まで絞り込み、近景から遠景までの全範囲にピントを合わせたパンフォーカス状態で撮影したもの。くっきりとした写りが得られた。
反射防止効果を持つナノクリスタルコートや、汚れが付着しにくいフッ素コートをDXレンズでは初めて採用したことも、うれしいポイントだ。注意点は、ボディ側からの電気信号によって絞り制御を行う電磁絞り機構搭載のEタイプレンズであること。D2シリーズやD1シリーズなど古いボディでは、本レンズは使えない。対応製品は同社のサイトで確認したい。
今回の試用では、使い勝手のいいズーム域と、暗所に有利な明るい開放値によって旅先でのスナップを快適に楽しむことができた。マニュアルフォーカスの使い勝手にはもの足りなさが残るが、切れ味の鋭い描写性能も含め、それ以外の面での満足感は高い。
近年はフルサイズ機の人気が高まっているが、持ち運びや取り回しの自由度、画質、価格などのトータルバランスを考えれば、APS-Cサイズの一眼レフシステムもまだまだ魅力的であることを再確認できた。そんなレンズである。
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