特集:全1回 Javaアプリ開発でなぜLinuxを使わないのかdev Java(3/8 ページ)

» 2004年06月11日 16時40分 公開
[大澤文孝,ITmedia]

GUI上で実現するJavaアプリケーション統合開発環境

 J2SE SDKをインストールすれば、「javac」コマンドを使ってJavaアプリケーションの開発が可能となる。すなわち、viやemacsなどのテキストエディタでソースコードを記述し、コンパイルするという作業環境ができあがる。

 しかし、現実的にはJ2SE SDKの「javac」コマンドで開発するということは少なく、何らかの統合環境を使って開発していくことになるだろう。ここでは、統合開発環境として人気の高いEclipseを例に挙げ、Linux版のJavaアプリケーション開発の流れを見ていこう。

 今回は、Linuxのディストリビューションとして、「Fedora Core 2」を例に挙げた。

最大の難関はX Window Systemの稼働まで

 統合開発環境を使う際、最大の難関はX Window Systemだ。このウィンドウ環境の実現こそが、いまだ多くの開発者がWindows上で行っていることの理由かもしれない。Fedora Coreを始め、最新のディストリビューションでは、グラフィックチップの自動認識率が非常に高くなっている。それでも、Windowsと比べれば、まだまだであり、ノートPC上での稼働も壁となっている。

 Linux上のEclipseの使い方については「特集:Sunを隠すEclipseの真価」が詳しいためそちらに譲るが、Motif版とGTK版がある点が大きなところだ。

 Fedora Core 2では、GTK版を使えばよい。また、あらかじめGTKのライブラリが含まれているため、X Window System環境を正しくインストールしてあれば、Eclipseを使うにあたり事前の設定は必要ない。Eclipseをダウンロードし、展開した後、次のように指定すれば起動する。


$ eclipse -data [ワークスペースの場所]


「-data」オプションでは、Eclipseに参照するワークスペース(プロジェクトなどを配置するディレクトリ)の場所を指定する。たとえば、自分のホームディレクトリに「eclipseworkspace」というディレクトリを作っておき、「-data ~/eclipseworkspace」などと指定する。

 なお、Eclipseはjavaコマンドによって実行されるため、J2SE SDKの「bin」ディレクトリ(javaコマンドが入っているディレクトリ)にPATHを通しておく必要がある。また、Eclipseの日本語化パッケージをインストールしてあれば、画面1のように表示が可能だ。もちろん、テキストエディタ上でも日本語入力が可能だ。

画面1■Linux上のEclipse

 ここまでで手順を極めて簡単に説明してきたが、ディストリビューションや利用しているグラフィックカードによっては、X Window Systemそのものを動かすまでが、かなり大変なこともある。

 近年のLinuxディストリビューションは、インストーラの標準でX Window Systemがセットアップ可能となったため、ずいぶんと初期設定が楽になった。しかし、前述したように利用しているグラフィックチップによっては、正しく画面が表示されなかったり、高解像度で表示できないなどの問題が起きる。LinuxのX Window System環境の整備が面倒という点こそが、開発者がLinuxではなくWindowsを選ぶ理由のひとつでもあるといえるだろう。

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