「コンテンツについての情報」を提供してILMを加速するDocumentum

Documentumのアジア パシフィック地域製品・マーケティング担当ディレクター、ディーン・マイゼンハイマー氏は、EMCとDoumentum製品の組み合わせがILMを加速すると語る。

» 2004年06月18日 18時41分 公開
[ITmedia]

 2003年10月の買収によりEMCの傘下に加わったエンタープライズコンテンツ管理(ECM)ベンダー、Documentum。同社アジア パシフィック地域の製品・マーケティング担当ディレクター、ディーン・マイゼンハイマー氏は、EMCのラインナップにDoumentumのECM製品を組み合わせることによって、ILM(Information Lifecycle Management)構想の実現をいっそう推進していくと語った。

 EMCは6月10日に、DoumentumおよびLegato Systems、それにEMCのソフトウェア製品群の事業を統括する新部門、「EMC Enterprise Software」の創設をアナウンスしたばかりだ(6月11日の記事参照)。「EMCの製品とDocumentumの製品を統合することにより、異なるタイプのコンテンツに対し、統一された管理ポリシーの下でコラボレーションを行えるようにしていく」(マイゼンハイマー氏)。

 EMCを含む多くのストレージベンダーが提唱している「ILM」とは、データが作成されてから活用、保管、消去されるまでのライフサイクルに沿って、性質に合わせた適切なストレージを利用するという考え方だ。だが、「ここで1つ問題がある。管理しようとするコンテンツに対する情報が少なく、そのコンテンツの『価値』を把握できないことだ」(マイゼンハイマー氏)。それゆえ、その情報をどのように使い、どこに格納するか、適切な判断が下せないでいるという。

 これに対しDocumentumは、Office文書やさまざまな書類、HTMLやXMLベースのコンテンツといった非構造化データの保存/検索や管理を支援するソフトウェアを提供している。同社のECMは、格納しようとする情報がどういった性質を備えており、新鮮なのかそれとも古いのかといった「情報についての情報(メタデータ)」を把握できるようにしてくれるとマイゼンハイマー氏。

マイゼンハイマー氏 EMCとDocumentumの組み合わせでILMをさらに推進すると述べたマイゼンハイマー氏

 ILMを実現するには、どの情報をどのように扱うかを定める「ストレージポリシー」の定義が重要だが、EMCとDocumentumの組み合わせは、「そのコンテンツをハイエンドのストレージに格納するか、それともより低コストのCentellaストレージに格納するかの判断を自動化し、ILMをさらに推進するものだ」(マイゼンハイマー氏)。同氏はさらに、このような組み合わせを提供できるベンダーは他にはないとも付け加えた。

コンプライアンスが事業をより良いものに

 ILMに基づくストレージ管理に注目が集まる背景には、各種法規制への準拠(コンプライアンス)という要因もある。米国のSEC 17A-4やHIPPAが代表例だが、金融や製薬、医療業界などでは特に厳しい規制がかけられるようになった。

 マイゼンハイマー氏は、この傾向は今後も続き、地方企業であろうと多国籍企業であろうと、ますますコンプライアンスに関するプレッシャーを感じるようになると指摘。ただ一方で、「コンプライアンスへの取り組みが、事業をより良いものにすることにもつながる」という。

 つまり、コンプライアンスへの対応体制が整えば、「誰がどの情報にアクセスすることができるのか、また監査は誰が行うのかといった一連の手順と社内ポリシーを確立できる」(同氏)。どの情報をどのタイミングで、どういった形で公表するかについてコントロールを行い、公開前の情報や不適切な情報を公にしないよう制御できるという。

 Documentumではそのためのツールの1つとして、「Documentum eRoom」を提供している。プロジェクト管理とコラボレーションを支援するソフトウェアで、「単なるファイルサーバ経由の情報共有にとどまらず、プロジェクト全体を管理し、離れた場所にいるユーザー同士のコラボレーションを実現する。Webベースのポータルを利用するため、打ち合わせのために出張したり、レポートをいちいち印刷して郵送するといったことも不要だ」(マイゼンハイマー氏)。

 「ビジネスの効率向上のために、コンテンツマネジメントが寄与できることはたくさんある」(同氏)。

 一方で、その効用を最大限に享受するには、企業側の文化やビジネスプロセスを変えていくことも必要だ。マイゼンハイマー氏は「コンテンツ管理は、ビジネスをより簡単に、効率的にするということを知ってもらうのも重要だ」とも述べている。

情報管理の一元化でコントロールを容易に

 ECMによる情報管理の一元化は、企業にとって大きなリスクとなっている情報漏洩の防止にもつながると同氏は述べた(もちろん、その一元化されたデータをきちんと管理、防御する必要があるのは言うまでもない)。

 「ファイルサーバがあちこちに分散している状態よりも、中央に1つの情報リポジトリを作成し、そこにあらゆる情報を一元的に格納しておくほうが、アクセスコントロールはより容易になる。しかもDocumentumの製品では、ユーザープロファイルに基づくアクセスコントロールと暗号化を行うことが可能だ。誰もが自由にアクセスできる情報と、編集や印刷が制限される機密情報とを分けて管理し、不正アクセスや情報漏洩を防ぐ」(マイゼンハイマー氏)。

 また、日本ドキュメンタムのマーケティング部マネージャー、持田輝男氏は、「いつ、誰がどの情報にアクセスし、どんな作業を行ったかがすべて記録として残る監査機能も備えている。どのユーザーが何をしたかが一目瞭然だ」と付け加えている。

 またマイゼンハイマー氏は、すべての情報に1つのポリシーを適用し、がんじがらめにするのは非現実的だと指摘。「ユーザープロファイルやドキュメントの性質に応じて複数のビジネスポリシーを適用できる、より柔軟なソリューションが必要だ」と述べている。

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