来年に発売が予定されているSQL Server 2005は、BIに関する機能がより強化されている。どんなことができるのか、デモを中心にそれを分かりやすく解説するセッションも開催されている。
今回のTech・EdのキープロダクトにもなっているSQL Server 2005は、従来からのデータ管理機能やデータ分析機能がより強化されており、とくにBusiness Intelligence(BI)に関する機能は統合ディメンショナルモデル(UDM)を導入するなど、多岐にわたる改良が図られている。
SQL Serverのテクニカルセッションの中でも、BIソリューションに関する機能が紹介された。講師はフリーランスエンジニアの松本崇博氏。同氏はMicrosoft MVP for SQL Serverの資格を有しており、PASSJボードリーダーでもある。
BIの基本はレポーティングから始まる。SQL Serverにはもちろんレポーティングの機能が用意されている。それが「Reporting Services」だ。企業レポートの作成、管理、配布を担うレポーティングツールで、SQL Server 2005に標準搭載される。これと同じく2005に新たに導入される「Business Intelligence Development Studio」を利用することで、Visual Studioなしでの開発が行える。
このツールはBIだけでなく、納品書や商品カタログ、グラフ作成などにも利用できるもので、プログラムレスでレポートができるといった特徴を持つ。また、PDFやExcelへのエクスポートも可能で、同じデータベースアプリケーションのAcessからはインポートもできる。
レポートの作成はウィザードを進めていくだけで行える。ウィザードを利用しなくても簡単にできるが、利用することでより簡単に、高度なマトリックス形式の表が作成できる。
そしてより高度に、いろいろな分析をしたいならAnalysis Servicesが利用できる。Analysis ServicesはSQL Serverに標準搭載されているOLAPサーバである。OLAPキューブの作成や管理を行うもので、SQL ServerのライセンスだけでOLAPができてしまうのは、松本氏いわく、「こんなに安価に多次元データベースができてしまうとは。それぞれのツールを別売りにしてもよいくらいです」とのこと。
実際OLAPツールのシェアではNo.1を誇っているのがこのSQL Serverである。SQL Server 2005ではキューブの作成がより簡単になるなど、データマイニングの機能がさらに向上しているという。
キューブにアクセスするためのツールとしては、Excel Add-in for Analysis Servicesがある。ダウンロード提供されているもので、特徴としては、Excel本体のピボットテーブルよりも柔軟なレイアウト構造で、入力も可能、複数のキューブからレポートを作成できる、といったものがあげられる。日本語版がこの8月に提供開始されたばかりだ。構造化レポートや自由形式レポートというように、自由にその形をかえることができる。ピボットテーブルを使いこなしているユーザーはぜひ利用する価値のあるものだろう。
Business Scorecard Acceleratorは、背景として経営手法であるBalanced Scorecardの考え方をSQL Serverで実現するためのアドインツールである。今まで見てきたBIツールの中では最上位に位置するものだろう。WSSあるいはSPSが必要となるが、企業の経営の要となる戦略マップ作成、戦略目標とKPIのカードを作るツールとして欠かせないものとなる。
企業におけるデータの有効活用法として、SQL Serverを用いたBI手法は、これからもますます重要なソリューションとして、SQL Server 2005の登場とともにより浸透していくだろう。
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