VERITAS VISION 2004 JAPAN開催、IT部門をバリューセンターに変えるユーティリティ戦略

ベリタスは10月6日、年次カンファレンス「VERITAS VISION 2004 JAPAN」を開催した。ヘテロ環境をサポートしたソフトによるユーティリティ化の優位性と、その道筋を明確にした。

» 2004年10月06日 17時59分 公開
[堀 哲也,ITmedia]

 得意とするストレージ管理ソフトを足がかりに、サーバ、アプリケーションを含めたITインフラ管理全体の管理へ転換を図るベリタスソフトウェア(ベリタス)。「ユーティリティコンピューティングの実現」を目標に据えてから、1年余りが経過した。

 「ユーティリティ戦略実現の年」と今年を位置づける同社は10月6日、都内ホテルで年次カンファレンス「VERITAS VISION 2004 JAPAN」を開催した。基調講演には、米Veritasのゲイリー・ブルームCEOが登場し、「ハードを持たないソフトウェア専業ベンダーこそがユーティリティコンピューティングを実現できる」と訴えた。

ゲイリー・ブルームCEO 「複雑性=コストだ。ITの直面する複雑性を発見するところからユーティリティコンピューティングは始まる」とゲイリー・ブルームCEO

 同社は、ユーティリティ戦略を発表以来、一貫してハードやOSの混在環境をサポートするヘテロジニアス環境に対応した、ソフトウェアによるストレージ管理の簡素化を目指してきた。電気や水道のごとく、企業内のITインフラをサービスとして提供できるユーティリティ環境でも、その戦略が優位に働くという。

 「Oracle 10gのグリッド、これもすべてOracleでなければ実現できない。EMCもすべてEMCでなければダメだ。HP、IBMもしかりだ」。ブルームCEOは他ベンダーの戦略を批判を込めて、違いを示す。

 「一社で整えられるのであれば問題ないが、そんなことはあるのだろうか?」

 金融業界で起こった合併の例でも、この問題が顕在化した。「EMCでストレージシステムを構築していた彼らはEMCに頼れば十分だと言っていたんだ」。だが、合併先は日立で構築しており、思わぬところでヘテロの環境への対応が必要となったという。

 ヘテロな環境を見据えていれば、UNIXからLinuxへといったプラットフォーム移行でも問題が減り、当然、ブレードサーバといった新たなパラダイムへの移行も容易と、メリットは多い。

ユーティリティ環境への5ステップ

 ユーティリティ環境の目標は、ITをビジネスに付加価値を与えるサービスを目指すところにある。

 予期せず起こった複雑性を排除することでコストの最適化を図り、ITがサービスとして認知されれば、IT部門はコストセンターからバリューセンターへと変革することができるというわけだ。

 まずは複雑化している環境を把握し、仮想化技術でリソースを共有化、管理手法を標準化することを同社は推奨する。標準化された管理手法がポリシーによって自動化されれば、IT部門の負担は減りコストが最適化される。その後、ITインフラをサービスとして捉え、課金の仕組みを展開できれば、バリューセンターへと変わるシナリオだ。

 この目標へ最も近いところにあるのが現在、ストレージ分野である。「ストレージでは一元管理とバックアップといったことが行われており、サービスとして捕らえられるようになれば、ストレージ分野における強力なユーティリティ環境が実現する」(ブルームCEO)。

 同社は、このステップをストレージ/サーバ/アプリケーションとカテゴライズし、段階的にビルディングブロックを積み重ねる手法で、ユーティリティ化を推し進める実現方法をとる。この1年間、このビルディングブロックのコンポーネントの再編、強化に勤めてきた。あらゆる製品でバージョンアップを行い、先日、新たに日本に投入された「VERITAS CommandCentral」ファミリもその重要な一部だ。

 また、ブルームCEOは電子メールアーカイブソフト企業、英KVault Software(KVS)を8月末に買収を発表したことも紹介。電子メールの長期保存といったコンプライアンス(法令順守)関連で、力を発揮する製品となるという。

 調査会社のガートナーによる電子メールアーカイブ分野のマジッククワドランでは、唯一、ビジョナリーでリーダーの位置されており、この分野でも自信を見せた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ