RFIDとは何か?――モノと人を非接触で識別するRFIDの仕組み月刊コンピュートピアから転載(2/2 ページ)

» 2004年10月19日 14時12分 公開
[竹下円蔵,月刊コンピュートピア]
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 「アクティブ型」のICタグは、内蔵電池を使って自ら電波を発信する。電波発信機を持つため出力が強く、通信距離は数十メートルとなる。ICタグないのメモリにデータを書き込むことが可能リライタブルであること、電池寿命(10年以下)があること、コスト高になることが特徴だ。最近では、リーダーからの反射電波を使用する「セミアクティブ型」のICタグもある。

 一方、「パッシブ型」のICタグは、電池を内蔵しないため、自力では電波を発信することができない。そこでリーダーが発した電磁波やマイクロ波を利用して、起電力を得る電磁誘導方式やマイクロ波共振方式などがある。電磁誘導は、コイル(導体)の近くで磁石(磁場)を移動させるとコイルに起電力が生じる、というおなじみの原理。共振方式は、電気振動を利用する。コイルを持つタグに電波を当て、その共振周波数からタグを識別するタイプだ。

 このようにRFID は、リーダーが放つ信号(質問)によってICタグが活性化する。ICタグがリーダーからの電波に反応することによって、リーダーはICタグに記録されているデータを読み出す。電池を内蔵しないため小型化でき、コストを抑えられることと、タグ自体が破損しなければ半永久的に使用でき、通信距離が数センチから数メートルと短いことが特徴だ。

モノの識別と人の識別

 ICタグのデータを読み取るリーダーにもさまざまなタイプがある。携帯性を重視した小型のハンディタイプや、空港の手荷物検査装置のようにベルトコンベア上を移動するモノに付したICタグを読み取るトンネルタイプ、アンテナとインテロゲーター(質問器)を分離してアンテナ部分をフラットにしたパネルタイプ、出入口での万引き防止などに使われるゲートタイプなどがある。

 リーダーの設置場所によって、さまざまな用途が考え出されている。例えば、衣類の小売店では更衣室にリーダーを設置した。顧客が試着のために持ち込んだ衣類のICタグを自動的に読み取り、更衣室に設置したディスプレイで商品コンセプトの説明ビデオを流したり、服に合うアクセサリーなどを紹介したりする。また、従業員向けにディスプレイ付きのリーダーを用意し、これを在庫管理システムと連携させて在庫(サイズ違いや色違いなど)確認もできるようにした。

 消防の分野では、ビル内の避難誘導灯にリーダーを実装しておき、消防隊員が救助に突入した際に隊員たちの位置を得る仕組みも考えられている。これはパッシブ型のICタグを隊員が身に付け、リーダーで近くにいる隊員を特定するものだ。どのチームが、どのフロアの、どこへ移動したがわかる。これは、モノの識別ではなく人の識別となる。

 生産・流通・販売におけるモノの識別システムとしてのRFID の用途とは逆に、消費者側の用途もある。消費者がいつも所持している携帯電話にリーダーを実装する。消費者はモノに付されたICタグを読み込むことで、インターネットを経由して対象物の関連情報を引き出せる。消費者に利便性を提供するものだ。

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