特集:準備が整ったSQL Server 2005Visual Studio Magazine(1/5 ページ)

予定より遅れたリリースベータ2。SQL Server 2005は、データベース設計者、プロジェクトマネージャ、データベース管理者に何をもたらすのか。米国でVS専門誌ナンバーワン、Visual Studio Magazine特集をお送りする。

» 2004年10月21日 19時10分 公開
[Roger Jennings,FTPOnline]

 Visual Studio Magazine誌は、米国でVS専門誌ナンバーワンの発行部数を誇る。ITmediaでは、発行元FTP Onlineから翻訳権を取得。米国発でホットな話題をピックアップし、月に2つの特集を定期掲載していく。

 今回は、前編、後編に分け、Visual Studio 2005と同時期に出荷予定の「SQL Server 2005」のベータ2を元としたトピックをお送りする。なお、この特集での焦点は、T-SQLの扱いや新機能についてを始め、SQL Express、新たに提供されるクエリエディタ、SQLネイティブクライアント、HTTPエンドポイント作成、Service Broker利用のプログラミングなどだ。


 「Yukon」という開発コード名で呼ばれた「SQL Server 2005」は、登場までに、実に5年以上の月日を費やした。

 最初にデモされたのが2001年、そして、ベータリリースの期日は遅れに遅れ、最終的には特徴的な機能の幾つかが割愛されたままベータリリースの運びとなっている。

 米Microsoftは、2004年7月、MSDNエンタープライズ、ユニバーサル、プロフェッショナルのサブスクライバ向けに、ベータ2をリリースした(本稿、後編末にリソース先を付加)。SQL Server製品管理ディレクターのTom Rizzo氏からは、「ベータ2は、最終リリース版に限りなく近く、後のベータではReporting Serviceの拡張と管理ツールが充実されるに過ぎない」とコメントされている。

 「2005」とナンバーが付いていることからも、SQL Server 2005は2005年に登場するのが間違いない。リリース時の製品は、動作速度が高速で、堅牢、しかもセキュリティに優れたものになるはずだ。

 本稿では、SQL Server 2005ベータ2の特徴、そして、当初の予定には入っていたにもかかわらず見送られてしまった機能、さらに今後のSQL Server製品の進化の見通しについて説明しよう。

 また、本稿はVisual Studio 2005ベータ1とSQL Server Expressを試している開発者向けのものではない。主に、データベース管理者、プロジェクトマネージャ、データベース設計者、そしてITマネージャに向け、SQL Server 2005がどのようなインパクトを与えるのかに焦点を当てる。

 そうとはいえ、SQL Server 2005の新機能の幾つかを使うには、ADO.NET 2.0が必要になる。そこで、.NET Framework 2.0で加えられたSystem.Data.SqlClient名前空間のクラスや新しく用意されたSystem.Transactions名前空間についても触れていくことにする。

 ベータ2では、平文のテキストをvarbinary型の暗号化したテキストに変換して格納できるデータセキュリティ機能が追加された。

 暗号化は、米国の医療関連データ規格である「HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability:医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)」のような、連邦や州のプライバシーおよび守秘義務規制に応じるために必須といえよう。

 また、SB1386として知られるカルフォルニア州のデータセキュリティ法に適合するためにも暗号化が必要だろう。

 パフォーマンスを優先するなら、暗号化と復号化で同じ鍵を使う「対称鍵暗号方式(共通鍵暗号方式)」を、セキュリティを優先するなら暗号化と復号で別の鍵を使う別のキーを使う「非対称鍵暗号方式(公開鍵暗号方式)」を使うとよい。非対称鍵暗号方式では、対称鍵暗号方式で使う鍵を暗号化することもできる。SQL Server 2005では、すべての鍵はデータベース内に保存される。

 T-SQLにおける、暗号化ステートメント、そして、暗号化/復号化のための関数についての詳細は、後述する。

 ところで、データベースの信頼性もまた、関心ある話題だと言えるだろう。

 ベータ2のデータベースミラーリング機能を使うと、ホットスタンバイサーバを構成できる。この機能は、従来のフェイルオーバークラスタより、ずっと管理が簡単なのが特徴だ。サーバが障害などでたとえ新しい接続を受け入れなくなっても、データベース管理者は、Sqlcmd.exeというユーティリティを使うことで管理専用の接続を使うことができる。

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