次期Flashプレーヤ「8 Ball」は速くさらにリアルタイム効果へMacromedia Flash Conference 2004

22日、東京渋谷でFlash Conference 2004が開催された。基調講演にはMXプロダクトを統括するケビン・リンチ氏が来日して登壇。次期Flashプレーヤについても語られた。

» 2004年10月22日 15時50分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 10月22日、マクロメディア主催のカンファレンス「Macromedia Flash Conference 2004」が東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで開催された。マクロメディアのカンファレンスは、プレゼンテーションにFlashを多用し、躍動感ある見せ方が特徴だ。今回も例外なく、動画と音楽との相乗効果で来場者の目を引きつけた。

 基調講演には、米Macromediaからエグゼクティブバイスプレジデント兼チーフソフトウェアアーキテクトのケビン・リンチ氏が登壇し、ここ数年に渡るインターネット上で繰り広げられたマルチメディアコンテンツについて冒頭で触れ、講演テーマとする「コミュニケーション」「映像表現」「ビジネス」それぞれについてを語った。

米国で著名な、アクションスクリプト書籍の著者でもあるケビン・リンチ氏

 リンチ氏は、Macromediaのプロダクト、MXシリーズ戦略を統括するゼネラルマネージャー。現在、Webクリエイターからの支持が高いMacromedia Dreamweaverの初期企画や開発を指揮したことでも知られている。

事例で見せたFlash採用動向

 「現在、コミュニケーションの分野は最もエキサイティングでワクワクするものが多い」とリンチ氏。「Macromedia Breeze」に関わるWeb上でのコミュニケーション形態としてAOL上で展開しているAIMサービスでの例を挙げた。

 また、ビジネス利用面では、同社がプレゼンテーションサーバと称する「Macromedia Flex」を挙げ、デモで示した。Flexは、「MXML」と呼ぶXMLベースのスクリプト言語を持ち、サーバサイドで動作するテクノロジー。Javaでお馴染みなビジネスロジック層とデータ層の分離にポイントを置いている。

 現行MXプロダクト上の「タイムライン」に代わり、XMLベースのスクリプトを利用できるため、業務Webアプリケーションに応用できるとの狙いだ。

Flexで作成したコンテンツ例。基本的なUIは用意されているため、Flashデザイナーが居なくてもこの程度の画面が実現できるという

 またFlexの真価は、Javaであれば現行のJSPで構築するプレゼンテーション層をFlashで代替えし、リッチアプリケーションを比較的手軽に構築しやすい点にある。Flexにより、必ずしもFlashデザイナーの手を必要とせず、比較的JSPよりもリッチなアプリケーションを手軽に作り上げることが可能だ。

 リンチ氏は講演内で事例として、既報であるNECシステムテクノロジーのiBizBlockについてや、日産、東京電力などのデータベース、ビデオなどと連動されたコンテンツを見せた。

東京電力の「でんき予報」。女性が動き回り、音声アナウンスし、毎日の電力供給可能量と履歴などを同時に表示する

 最近では、開発フレームワークソフトのEclipseにも、Flexプラグインが用意されている。Eclipseを利用しての開発も可能だ。

8 Ballで実現する次期Flashのトピック

 「8 Ball」は、次期Flashプレーヤのコードネーム。講演後半では、本邦初公開だというデモも行われた。

 8 Ballでは、フォントのアンチエイリアス表現を改善し、現行で多く使われているClearTypeフォントよりも高品質な表示を可能にするという。

 さらにパフォーマンス改善によって描画速度が飛躍的に向上する。デモで示されたサンプルからは、10倍と言っても過大ではないほどのスピードアップさだった。

パフォーマンス改善で表示されたデモ。彩色の円が回り続けるもの

 ほかにも、現在では同社プロダクトFireworksとの組み合わせで実現されているような画像効果を、Flashのみでリアルタイムに実現可能にするデモを披露した。しかもリアルタイムにスライドバーでパラメータ変更が可能といった具合だ。その効果として、下写真のように、ドロップシャドウなどの動きを表現方法として使えるようになる。

 リンチ氏のライブ映像に画像効果を与えたビデオも映し出された。

ドロップシャドウ効果が右側のパラメータ変更でダイナミックに変化するデモ
DNAのようなモデルがドロップシャドウ効果を付加させたまま回り続けるデモ
リンチ氏が操作するPCカムからのビデオ映像に効果を付加し、フラクタルのような効果を連続変化させるデモ
リンチ氏はこのデモで写真上左、後ろ向きの女性が動く動画状態で、背後にある文字をカーソルでアクティブ選択。そして、文字を書き換えて見せた。ビデオは再生したままの状態であり、女性はその最中に右側に通り抜けていく

 Flashムービーは、従来までドローデータのプレーヤーというイメージがあったが、基調講演ではムービープレーヤとしての側面の印象も高め、リンチ氏は何度も強調をしていた。

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