熊坂×井庭「0番目の対論」SFC Open Research Forum 2004特別対論(1/4 ページ)

今年のSFC Open Research Forum 2004は、「21世紀をつくる対論12」をテーマに、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの論客が、21世紀が抱える12の世界の問題を提起し、争点を明確にし、それを乗り越えるための政策論を展開する。

» 2004年11月01日 16時42分 公開
[ITmedia]

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスは11月23、24日、都内で研究機関としての成果を一般に公開する「SFC Open Research Forum 2004」を開催する。「21世紀をつくる対論12」をテーマに掲げ、メインセッションでは、同キャンパスの論客が、21世紀の世界が抱える12の問題を提起し、争点を明確にし、それを乗り越えるための政策論を展開する。今年の実行委員長を務める環境情報学部長の熊坂賢次氏は、「未来への思いを実現する実験的で挑戦的な試み」と話す。Open Research Forumを前に、総合政策学部専任講師の井庭崇氏と対論してもらった。

Open Research Forumの対論12に先駆け、熊坂氏(左)と井庭氏が「0番目」の対論を行った

熊坂 「SFC Open Research Forum」の今年のテーマは「21世紀をつくる対論12」です。ここで言っている12の対論というのは、21世紀をひっくりかえしただけなのですが、SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)の3学部1研究科の人たちでいろいろな形でバトルをしたいと考えたわけです。

 僕は団塊の世代なのですが、2012年には65歳になります。単純に高齢社会になるから、今の社会システムでは悲劇しか起こらないと思います。

 でもよく考えてみると、本来長寿は究極の幸せであるのに、みんな高齢化を恐れています。つまり、20世紀の近代社会のシステムが二進も三進も(にっちもさっちも)いかなくなっているわけです。みんなが長寿を望ましいものと思えるには、高齢者が少なくて若い人がたくさんいるという前提のもとでしか成り立たない近代社会のシステムをどう変えるかということを、考えたいわけです。そのとき、テクノロジーが社会を変えていく鍵になると思うのです。

技術と環境は共存すべき

 しかし、環境は、過去の歴史をみると、テクノロジーが優れてくればくるほど、ボロボロにされてきました。テクノロジーが皆無だった時代、環境は無限と考えられていたのに、どんどん有限になっています。しかし、テクノロジーと環境が対立関係になるのもおかしな話です。やはりテクノロジーがわれわれの世界を幸せにするためのツールだとすれば、環境を疲弊させるようではだめで、共存を考えないといけません。

 また、社会のシステムをつくってきた、いわゆる資本主義体制とか、市場メカニズム、デモクラシー、あるいはマスメディアや文化の問題なども含めて、明らかに限界がきていると思います。そこで、それをどうぶち壊すか、そのための対論を組みたいと考えたわけです。

SFC Open Research Forum 2004実行委員長を務める熊坂賢次 環境情報学部長
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ