Informixの実力を高く評価する楽天――大規模WebサイトにおけるDBMS(2/2 ページ)

» 2004年11月19日 18時13分 公開
[西尾泰三,ITmedia]
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数種類のDBを使い分ける楽天

 Informixのユーザー事例として今回ゲストスピーカーに招かれたのは、楽天の開発本部システム構築・運用部門の安武弘晃氏。楽天といえば、オープンソースソフトウエアのヘビーユーザーであるように思われる方もいるかもしれないが、「楽天はいいものをユーザーに届けるのがミッションであり、そのための技術は問わない。要は使い方」と適所適材で利用していることを強調する。

MySQL関連の場でも精力的に講演を行う安武弘晃氏

 1万店以上の出店数、会員数は700万以上を抱え、今でも成長を続ける楽天は、「Shopping is Entertaiment」と銘打ち、複雑な機能の集合体を提供している。一種のASPともいえる同社のシステムを支えるのが数百台規模のサーバ群で構成されるRMS(Rakuten Merchant Server)だ。

 そのDB部分には、Informixだけでなく、OracleやMySQLなど6種類前後のDBMSを利用している。割合としては、OracleとMySQLの割合が高いというが、1997年の創業当初から使っているInformixも相当数導入している。現在はIBM Informix Dynamic Server 9系がVERITAS Cluster Server上で稼働しており、片方のサーバに障害が発生しても短時間で復旧できると話す。

 Webからのリクエストに対する応答性能の確保(同社では通信部分も考慮して1秒以内のレスポンスタイムを想定している)や障害時の復旧対策など、複雑化するDB管理業務を基本的には自前で行っている。

 安武氏は、Informixのメリットをいくつか挙げているが、経営層からは「止まらず、遅くならないシステムをできる限り安く」構築することが求められる。このため、マスターとスレーブを用意し、リクエストの多い参照系だけをスレーブに対応させ、更新系のみ停止してサービスを継続する方法や、更新系も分散することで高可用性を持たせる方法があるが、いずれもInformixでは実績もあるものだという。

 また、増え続けるトラフィックに対応するべく、サーバのスケールアップを選ぶことが多いという同社では、DBサーバのほとんどが4CPU以上、ものによっては60CPUから100CPUを搭載するものも存在しているという。こうした多数のプロセッサを有効活用するには、ソフト側で適切なリソースのサイジングが求められるが、この部分はInformixを利用するとプロセッサ数に応じたスケールアップが実現できているという。

 しかも、高負荷のソフトウェアにはその分、多くのサーバやCPUを割り当てる必要があり、ソフトウェアのライセンス料も無視できない。運用面をトータルで判断し、Informixを選択することは意義あることだと話す。

 そのほか、運用面においては、Informixのonstatコマンドの良さを挙げる。オプションの数は膨大だが、裏を返せば細かい情報まで取得できるonstatコマンドは自社内で管理システムの作り込みが可能であることも便利だという。しかし、同時に、作り込みをしなければいけないということは、周辺製品が充実していないことも意味しており、この部分に時間をかけなければならないことへの疑問も呈している。

 そして、複雑化するDB管理業務を基本的には自前で開発する楽天からInformixに望むこととして、同氏はブランディングを挙げる。「例えばDBMSの技術者を採用しようとした際に、この点が問題になってくる。より身近な話でいうなら、Informixの関連書籍が世にどれだけあるかをみても、この点で改善の余地がある」と話し、この問題についての対策を訴えた。

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