ユビキタスID vs EPCグローバル月刊コンピュートピア(2/4 ページ)

» 2004年11月24日 10時57分 公開
[岡崎勝巳,月刊コンピュートピア]

 ucodeは基本的に128ビットから成っており、場合によってはさらに128ビット単位で拡張することも可能だ。ここで、ucodeがバーコードなど既存のID体系を包括できるなど、スケーラビリティが高い点に注目したい。これにより、既存の各種システムを生かしつつ、ICタグシステムの導入が容易に行えるようになっている。ucodeはユビキタスIDセンターが管理しており、基本的にユビキタスIDセンターからICタグメーカーに提供される。ただし、IDの割り当て手法については現在、いくつか考えられている最中で、その中にはユビキタスIDセンターが割り当てを行わない手法もある。これは、IDが発行された時間や発行場所などの情報を基にIDを生成する手法で、この場合にはユビキタスIDセンターがID情報を集中管理することが不要になる。

 ユビキタスIDセンターはucodeが割り振られたタグを標準IDタグと呼んでいるが、実は標準IDタグはICタグに加え、ICカード、さらにバーコードなどさまざまなものが対象になっている。また、ICタグでも読み取り専用タイプ、書き込み可能タイプ、さらに複雑な処理が行えるCPU搭載タイプのものも利用でき、CPU搭載タイプのICタグを利用した場合には、個人情報の保護の点で重要視される通信の暗号化も行える。つまり、ユビキタスIDセンターではさまざまな用途や目的に対応できる柔軟性が高いフレームワークを目指しているわけだ。

 ただし、ユビキタスIDセンターの考える仕組みにも課題は残されている。ユビキタスIDセンターが提唱するのは、いわゆるシステムの基盤でしかなく、その上に個別のソリューションを構築していかなければならない。その際に、果たしてどのようなソリューションなら普及するのか改めてユーザーの視点に立って考える必要がある。機能面では優れていながら、用途を開拓できず結果的に普及しなかった商品やサービスがこれまでにも多数あった。そのことを考えれば、システムに投資してまで使いたいと思わせる用途の発掘が至上命題となる。

 ともあれ、すでにユビキタスIDセンターは標準IDタグについてClass0からClass8にまで分類し、その概要について発表している。具体的には表1のようなものである。さまざまなタグが、その対象になっていることが理解できるだろう。

 他方、EPCグローバルではEPC(エレクトリック・プロダクト・コード)と呼ばれるコードをモノの管理に用いている。EPCは96ビットから成り、1.EPCのバージョン、2.メーカー番号、3.商品番号、4.シリアル番号により構成されている。情報は1に8ビット、2に28ビット、3に24ビット、4に36ビット割り当てられている。

 EPCグローバルはSCMの実現を目的とするだけあって、EPCのコード内にあらかじめメーカー番号や商品番号が割り当てられている点が興味深い。

表1 ユビキタスIDセンターの標準ICタグ認定基準

 96ビットという情報量は、1年間に生産される米粒の量よりはるかに多く、商品ひとつづつに異なるIDを割り振るのにも十分な量だと考えられる。情報量ではバーコードとは比較にならないことは言うまでもない。また。用途によっては256ビットのEPCも提唱されているほどだ。

 だが、EPCグローバルで用いられるタグはあくまでもICタグであり、ユビキタスIDセンターのようにバーコードなどの利用は考えられていない。そのため、バーコードが利用されている既存システムをICタグに置き換えるには、ICタグの低価格化や、導入コストに見合う明確な効果が求められることになる。ICタグの価格面では情報をより多く記録させようとするほど、メモリもそれだけ多く必要になり、ICタグの単価の上昇に跳ね返る。この問題を解決するため、EPCグローバルのICタグは読み取り専用にすることや、機能を絞ることで対応している。

基本的な処理プロセスは同じ

 ここまではユビキタスIDセンター、EPCグローバルが利用するICタグとそのID体系について見てきた。ここからは、それぞれのフレームワークがどのように機能するのかを見ることにしよう。ユビキタスIDセンターのフレームワークでポイントとなる技術が、1.ユビキタスコミュニケーター、2.製品情報サービスサーバ、3.ucode解決サーバと言える。(図1参照)1は通信機能を備えたIDタグのリーダー/ライターと言える。利用者はタグにまつわる情報をユビキタスコミュニケーターで確認することが可能である。

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