満を持してiSCSI対応ストレージを投入――EMCジャパン

EMCジャパンは、iSCSI対応のストレージシステムを発表した。サーバとストレージを直結するDASから、ネットワークストレージへの移行に拍車をかける狙い。

» 2005年02月16日 14時52分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 EMCジャパンは2月16日、iSCSI対応のストレージシステムを発表した。IPネットワークを活用できるブロックアクセスのiSCSIに対応したことで、サーバとストレージを直結するDAS(Direct Attached Storage)から、ネットワークストレージへの移行に拍車をかける狙い。

 新製品は、「CLARiX AX100i/CX300i/CX500i」。既存のCLARiXファミリーの機能をそのままにギガビットイーサネットを搭載、iSCSIに対応する。AX100iは、3Tバイトまでの容量を搭載でき、8台のサーバと接続できる。CX300i/500iはそれぞれ17Tバイト、35Tバイトまでの容量拡張でき、64台、128台のサーバと接続可能だ。当初はマイクロソフトのiSCSIイニシエータのみの対応で、4月以降Linuxにも対応させる。

 iSCSIは、SCSIコマンドやデータをTCPパケットにカプセル化してIPネットワーク上でSANを構築することができる技術。IPの技術が使えるため、ファイバチャネル(FC)よりも扱いなれているエンジニアが多く、SAN用の高価なスイッチを必要としないなど、ストレージ統合を行う際のコストメリットが高いとされる。2003年に標準化を完了していたが、まだマーケットの規模自体は小さく、今後大きな成長が予想されている。

西澤氏(左)と高沢氏(右) NetWinはWindows Storage Server 2003をベースにしている。マイクロソフトからサーバプラットフォームビジネス本部の高沢冬樹氏(右)が参加し挨拶した

 「EMCがストレージの最大手とするなら、2005年はiSCSIが普及する。グローバルでiSCSIを顧客から理解してもらい、満を持して投入するものだ」と、EMCジャパンのコマーシャル・ビジネス事業部マーケティング本部長の西澤伸樹氏。

 ただ、あくまでネットワークストレージの接続性を高めるのが目的で、「すべてをiSCSIにというものではない」とも言う。iSCSI、FC-SAN、NASにはそれぞれ向いた用途があるからだ。特にEMCは多くの階層ストレージシステムを持っており、用途に応じて適切なストレージを利用するILM戦略をとっている。CX300i/CX500iでは、プロセッサを変更することで、iSCSIタイプからFCタイプへ移行できるパスも用意する。

 また、昨年米国で発表されていたNASゲートウェイ「NetWin 110」の投入も発表した。NetWinを利用することで、SANを拡張してNASのように利用することができるようになる。

 価格は、CLARiX AX100i/CX300i/CX500iがそれぞれ80万円、250万円、690万円から。NetWin 110は79万5000円からとなっている。

 CLARiX AX100シリーズとNetWinの国内ディストリビュータとしては、ネットワールドとも提携。中堅・中小企業向けに拡販を図る。ネットワールドはEMC製品で初年度1000台、約10億円の販売を目指す。

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