ファイアウォール問題をクリアしたテレビ会議システム

ノルウェーと米国に本拠を置き、テレビ会議システムを提供するTANDBERG(タンバーグ)がファイウォールの問題を解決した「Expressway」をリリースした。

» 2005年02月16日 18時11分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 ノルウェーと米国に本拠を置き、テレビ会議システムを提供するTANDBERG(タンバーグ)が、世界のテレビ会議システム市場で浸透し始めている。同社の日本支社長を務めるのは山田守之氏は、「小泉総理大臣とブッシュ米大統領が行う“電話会談”には、実はわれわれのテレビ会議システムが利用されている」とアピールする。

 また、杏林製薬では、EUや海外の取引先、アフリカなど海外の取引先にもテレビ会議システムを導入してもらうことで、出張費などを削減するとともに、より密接なコミュニケーション環境を導入できたという。

ノートPCを利用したテレビ電話とは製品カテゴリが異なっているため、「ノートPCを特別な競合とは考えていない」と話す山田氏。ファイアウォール越えは画期的と強調。

 TANDBERGの会議システムを利用したときに、ユーザーが最も重宝するのは、大画面のテレビを活用することで、実際に目の前にいるイメージで遠隔地の人物と会話できることにある。また、相手の顔とともに、PCを接続することで、プレゼンテーション資料などのデータをテレビ画面上で一緒に参照することも可能だ。1人1台のノートPCを用い、IP環境をベースに実装するテレビ会議システムに対して、TANDBERGをはじめとした専用システムはハイエンド製品という位置づけになる。 エコーキャンセラーの内臓などにより、音質も高いという。

「ファイアウォール越え」を実現

 一般に、IPを利用したテレビ会議では、ファイアウォールを越えて通信しなくてはならないことがネックになっていた。つまり、顧客やサプライヤー、在宅勤務者とテレビ電話で話そうとした場合、テレビ会議システム用の通信ポートをネットワーク上に開けなくてはならず、セキュリティ上の弱点になる可能性があった。

 また、世界共通のダイアル方式は存在しないため、たとえファイアウォールがなかったとしても、IPアドレスを公開しない限りIP電話の実現は困難と言われる。

 同社は2月7日に、、ファイウォールとダイヤル方式に関するこれらの問題を解決した新たなソリューションとして、「Expressway」をリリースした。

 Expresswayでは、MXPテレビ会議端末と呼ばれる機器をテレビに設置するだけで、テレビ会議システムを利用することができる。また、H.264やMPEG4オーディオ、H.323、SIP、暗号化にも対応している。

 また、Expresswayでは、TANBERG MXP端末を利用する際に、ファイアウォールの外側とインターネットの間に「Border Controller」と呼ばれる端末を設置する。Border Controllerは、TANBERG MXP端末がインターネットに接続する際に通るファイアウォールにトンネルをつくる。これにより、通信用のポートを開放することなく、MXP端末がBorder Controllerを通じてインターネット上の外部環境に接続できるようになる。

 一方、導入企業が他社のH323対応端末を利用している場合は、ファイアウォールの内側に「Gatekeeper」と呼ばれる端末を別に設置することになる。ファイウォールの内側にあるすべての端末を代表して、Gatekeeperがファイアウォールに対してトンネリングを確立することで、同様にBorderControllerを介して外部と通信することになる。

 結果として、ユーザーはオフィス内から、関連する支店やSOHO、取引先ともファイアウォールを気にせずに、双方向のテレビ会議を実施することが可能になる。分散した拠点間での定時会議や、監視を主な目的にした導入など、さまざまな利用方法が考えられる。

 パートナーを通じた販売が基本であるため価格は公表していない。

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