「Notesの本質はEUC」──その功罪を語るユーザーたち(3/3 ページ)

» 2005年02月23日 00時34分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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軽量開発ツールのバンドルを

 Notesの方向性について、大塚商会の丸山氏は、「Webアプリケーションサーバ? あまり背伸びをせず、クライアント/サーバ型でもいいから、エンドユーザーがだれでも簡単にフォームとビューをカスタマイズできる簡単なツールがあればいい」と割り切る。

 Notesはご存じのようにバージョン4以降に「Domino Designer」が製品として分化した。インターネット標準を取り入れ、アプリケーションプラットフォームとして高機能化が進んだからだ。開発環境もパッケージングしたNotes本来の良さはこの時点で崩れてしまった。

 「Designer“Lite”を用意し、クライアントライセンスにバンドルすれば、Notesは再びエンドユーザーコンピューティングの起爆剤になれる」と丸山氏。アクセス制御機能があり、情報の漏えいを防ぐことができるNotesのような製品はほかにない。「情報システム部門がきちんとサーバを管理してやれば、個人情報保護法対策にも有効だ」とも。

 しかし、「エンドユーザーコンピューティングを許さない企業も増えている」と指摘するのは、みずほ情報総研の吉川氏。エンドユーザーが個々にスクリプトでアプリケーションを開発していけば、Notesをバージョンアップするごとに互換性をチェックしたり、修正を余儀なくされ、それが膨大なコスト負担として企業にのしかかってくるからだ。

みずほ情報総研 吉川日出行氏

 日立SCの中居氏も「全体最適化を狙い、Notesテンプレートを中央で集中管理するユーザー企業が多い」と話す。優れた事例を中央で作成し、横展開していく方が、企業全体を変えていきやすいからだという。やはり、エンドユーザーコンピューティング型では、アップグレードの際に移行がより複雑になってしまうと指摘する。

 ただ、こうした中央管理型のアプローチは情報システム部門を抱える中堅や大企業でなければ難しい。中小企業に強い大塚商会の丸山氏は、中央管理型にもエンドユーザーコンピューティング型にも柔軟に対応できるのがNotesの強みだいう。

 「エンドユーザーコンピューティングの本質は、実務担当者が業務を少しでも便利にするためにNotesを工夫していると、いろんなアイデアが沸いてくるところにある。そんなとき、Notesは会社の風土ですら変えられる。こうした効果はほかの製品にはない」(丸山氏)

 やはり帰るべきNotesの原点は、エンドユーザーコンピューティングなのだ。

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