ある天文系サイトのXOOPS移行事例dev blog/CMS(1/4 ページ)

Blog人気も相まって注目されているCMS(コンテンツ管理システム)。静的なHTMLの作り込みでは多大な手間となってしまう、CMSが実現するメリットとは何か? この特集では、事例サイトから導入効果を考えていく。

» 2005年04月14日 14時05分 公開
[木田佳克,ITmedia]

 サイト開設したのが1999年6月。当時は、ISPのリムネット上でホームページスペースを使い、Macromedia Dreamweaverで作り込み、30ページ程度の規模だった。そして開設から4年、CMSへ移行することにした。

 このdev blog/CMS特集では、現在、オープンソースソフトウェアのCMS「XOOPS」で運用している筆者のサイトを取り上げ、事例紹介していく。

 XOOPSについてはすでに、XOOPSコミュニティ通信や、機能を知るに相応しいインストールガイド、概要としては小野氏のコラムなど、さまざまな紹介をしている。オープンソースソフトウェア(OSS)のCMS(コンテンツ管理システム)の1つだ。

画面■筆者のXOOPS採用サイトの1つ「Yoshi's ETX Site」。米Meadeの天体を自動導入する望遠鏡ETXシリーズで、星空を眺めた観望記などを載せている
画面■管理者権限で見える設定画面。Blogと同じく日ごろはタグをいじる必要性がなく、このような画面で管理する

 まず最初に事例サイトの概要を紹介しておこう。残念ながら大規模な著名サイトというわけではなく、2005年3月で20万PV、2万5千UUという比較的小規模な部類だ(天文系サイトとしてはそこそこの伸びだと自己満足しているが……)。1年ほど前からはアフィリエイトを導入したが、現在、同サーバ上で6つほどのドメイン、サブドメインでサイト運用しているためそろそろ自宅サーバでは負荷が高い時間帯が目立ってきた(比較的Apacheプロセスのメモリ占有度が高い)。一部のドメインを外部レンタルサーバへ移行することも考えており、AdSenseを始めAmazon アソシエイト・プログラム、LinkShareなどのバナー類も設置してみた。しかし、AdSense以外あまり効果が見えてないのも事実。この辺りの分析も後述しよう。

CMS化が付加価値を考える機会になった

 そもそもホームページを開設する動機は、企業であれば広報やユーザーなどとの接点を求めるため、パーソナルであればBlogのような備忘録を始め、上記のアフィリエイト人気への便乗、掲示板によるコミュニケーション目的などだろう。筆者は、当初から明確に米Meadeの天体自動導入望遠鏡「ETX」という製品をテーマとしたサイトを作りたいと考え、この製品のノウハウを蓄積することでちょっとしたコミュニティが作り出せればいいな、という動機だった。

 そして、CMS化を思い立ったいちばんの理由は、Dreamweaverのテンプレート機能による作り込みでは、Web上の新たな規格、Webアプリケーションなどの登場背景で、自サイトに付加機能を持ち込む限界が見えたからだ。また、社内(ITmedia)のCMS化が盛んになった時期でもあり、OSSの業界動向が気になっていたという節もある。ここでの付加価値とは、RSSの取り込み表示や新着記事のアーカイブ整理、さらに掲示板の新着タイトルを別ページでも見せたいなど、静的なHTMLの作り込みでは更新し忘れる可能性があるものだ。

 そして、筆者のサイトの場合、CMSでゼロからコンテンツ蓄積するケースではないことが前提条件にあり、40ほどのページ資産をすべて移行することがテーマだった。このため、XOOPS上でHTMLを組み込むためのモジュール選定が最初の下調べとなり、サーバ環境の整備が次なる課題となった。

システム化によってサーバ依存度が増すことの意味

 すべての見通しが立った段階でも最後まで悩んだのは、XOOPS環境に移行すれば、易々と元の環境に戻れないことだ。

 コンテンツの一部(機能)がデータベースのMySQLに格納されるため、移行後は機能すべてを静的に置き換えることが難しくなる。また、サイト稼働環境を吟味してレンタルサーバプランを選ぶ必要もあるわけだ。

 筆者の場合はリムネット上にページ開設しながら自宅サーバも運用していたため、取りあえず稼働環境の確保で悩まないことにした。サーバはRed Hat Linux 8から9を経て、現在はDebian GNU/Linux(Sarge)上で維持している。なお、ここ数年で市場は激変し、PHPとMySQLをサポートするレンタルサーバサービスが増えた。月1,000円程度でも多くの候補がある。ただし、筆者サイトは動画ファイルも置いているからか、月平均15Gバイトほどの流通量のため、安価なプランではトラフィック量があふれてしまうのが悩みだ。

 そしてシステム化を行うと、例えばMySQLなどがダウンするとすべてのページがいちどに見えなくなってしまうという不安もあった。静的なHTMLページであれば、一部のページやCGI、SSI指定などが間違っていても全ページにまで影響しないだろう。HTTPサーバの運用状態さえ良ければ、それほど気にしないで済む。筆者のサーバ(Sarge)は、2、3日置きにapt-get upgrade(パッケージアップグレード)しているが、Apache、PHP、MySQLが含まれていると毎回ドキドキする。

画面■スパム対策ソフトのSpamAssassinの負荷も大きいがApacheとMySQLの負荷も見過ごせない

 CMS(XOOPS)環境で設定を間違えれば、全ページがいちどに見えなくなるため、HTTPサーバだけではなく、MySQLやPHPのチューニングまで気配りしなければならない。通常、レンタルサーバであればここまで心配する必要はないが、従来よりもサーバパワーに依存することを考慮しておきたい。

 そうとはいえ、最終的にはXOOPSで実現可能な機能が十分に見返りあるものと判断できたのだ。

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