顧客の真のニーズが理解できている場合は、提案型営業や提案型SEは有効なアプローチだが、気をつけなければならない点がある。それは、提案が独善的であったり、押し付けがましいものであったりしてはならないということである。筆者がユーザー企業に対して支援しているベンダー選定の場でも、そのような提案書や企画書を頻繁に目にする。
自社の手法やツールを延々と記述しているが、顧客の課題や要求には全く触れていないというものだ。ソリューションもどきの押し売りといわざるをえない。ソリューションプロバイダーを標榜するからには、顧客の真のニーズや経営上のビジョンを踏まえて、企業や業務のあるべき姿を明確に提示できなければならない。
ユーザー企業がITベンダーに提案を求める機会は多いが、その内容は多岐にわたる。ユーザー企業の悩みはさまざまであり、場合によってはユーザー自身も自社の課題が十分に整理できていないということもある。つまり、自分がやりたいことや目指すべき姿は明確でないが、現状には問題を感じているというようなケースだ。
ベンダーに日頃考えていることをぶつけたり、相談を持ちかけたりすることで、何らかのヒントを得たいと思うことも多い。課題を解決することこそがソリューションであるのだから、このような相談事がベンダーにとっては商談のはじまりということができる。したがって、ITベンダーは、ユーザーから相談事を持ちかけられるような相手となるよう信頼関係を築いておくことが第一歩と言えるだろう。ベンダーは、顧客の漠然とした問題意識やニーズを引き出して、整理することが求められる。
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