総論:ユーザーがSEに求めるスキルと知識ITR 内山悟志の提言(4/5 ページ)

» 2005年04月25日 00時00分 公開
[内山悟志(ITR),ITmedia]

 一般的に後半部分は、具体的な仕様や実現方法に関する技術的な説明であるが、この部分の出来に比べて、最初の数ページ、すなわち、提案の背景や位置づけ、導入の必要性やメリットを訴える部分の出来が非常にお粗末と言わざるを得ない提案が実に多い。

 中には、そのような部分が全く欠落した提案書さえ存在する。なぜ、この部分の出来が悪いのか。ベンダーのSEや営業担当者に対して提案のアプローチや提案書の書き方を指導することがあるが、実際のところ、この部分が書けないというSEや営業担当者が多いことに驚かされる。これは、ひとえに顧客の状況やニーズがわかっていないことに起因している。単なる箱売りやにんく人工貸しの提案であれば、仕様や技術が的確に説明されていれば十分といえる。

 しかし、顧客の課題を解決するためにソリューションを提案しようとするのであれば、最初の数ページで顧客の琴線に触れるメッセージがなければ、後半の部分に目を通してもらうことはできない。顧客にとって信頼に足るパートナーとしての地位を獲得するためには、ITベンダーのSEは、「アーキテクチャ的思考」「経営的視点」「IT市場動向・製品に関する知識とリサーチ能力」「顧客企業の属する業界に関する知識」の4つの視点および能力を身につけることが必要である。

アーキテクチャ的思考

 昨今のIT業界では、EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)やSOA(サービス指向アーキテクチャ)というキーワードが流行しているが、ここで言うアーキテクチャ的思考とは、EAやSOAに対する知識を指しているのではない。課題や事象を全体的かつ俯瞰的な視点から見て、構造的に理解し、論理的に整理したり表現したりする能力を指している。

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