総論:ユーザーがSEに求めるスキルと知識ITR 内山悟志の提言(3/5 ページ)

» 2005年04月25日 00時00分 公開
[内山悟志(ITR),ITmedia]

 では、顧客の課題やニーズを引き出すことで、提案の糸口を得るためにはどのようなアプローチで臨むべきなのであろうか。まず、問題解決の方法や実現手段を先に考えるのではなく、あくまでも問題の抽出と整理からとりかかりたい。自社の製品やサービスを無理やり当てはめようと考えるのは、この時点では禁物である。

 つまり、「何を提案したいか」ではなく、「何が課題か」に焦点をあてて取り組むことが肝要である。そして、何が課題かを考えるに当たっては、やはり顧客企業の現状や目指している方向を十分に理解することが望まれる。これには、顧客企業の経営ビジョンや中期経営方針などが一つの手がかりとなるであろう。

 たとえ顧客の担当者や部門長が直近の課題としてあげている事柄が「システム運用の効率化」や「Webシステムの早期開発」といったITに特化した個別の課題であったとしても、経営方針に立ち返って課題を整理することが有効である。顧客は、担当部門や担当業務という枠の中で局所的な解を求めようとして行き詰まっていることが多い。第三者である外部のベンダーが、課題や現象を客観的かつ対極的に捉えることで解決の糸口を見出すヒントを提供できることは少なくない。言い換えれば、顧客の気がつかなかった点を指摘したり、顧客企業の経営者がうなずくような提言を提供したりすることにこそ、ベンダーの提案の価値があるといっても過言ではない。

ベンダーSEに求められる4つの視点と能力

 筆者は、ユーザー企業に対してベンダー選定や製品選定の支援を行うことが多いため、ベンダーからのシステム構築や導入、アウトソーシングなどに関する提案書を数限りなく見て、評価している。ベンダーの提案書を見て常に感じることは、最初の数ページの出来の悪さだ。

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