SOAの意味するもの――時代を見る新たな潮流(4/5 ページ)

» 2005年04月25日 00時00分 公開
[清水敏正(日本アイ・ビー・エム),ITmedia]

 事業部制の壁を越え、担当部長の壁を越え、業務側の相当な参加があって初めて可能なのがSOAである。 業務側によるアプリケーションの分析、サービスへの分解・定義があって、初めてバトンはIT側に渡されると理解してよい。

 つまりSOAの時代を迎えたIT部門は、業務側と一部融合しなければ解決できない状況を迎えている。業務側に要請された時にReadyであるように、インフラとしてSOAを作っておく、などの取り組みは大きな間違いであると言えよう。

 SOAの時代は迅速の時代であるゆえに、小回りがきくことが有利な時代である。大きければいい時代は去った。インダストリー・ソリューション特化型のサービス部品として提供されるISV(独立系ソフトウェアベンダー)パッケージを購入し、使える部分を組み合わせて自社に都合のいいアプリケーションを作ることが出来れば、迅速さ、低コスト、柔軟さ、などで企業の強みを強化することが出来るであろう。

真に業界を知るISVが勝つ

 もちろん、チャレンジは多い。SOAを支えるWebサービスの多くの仕様は、いまだ発展途上であるし、実装の言語は問わない、ホスト資産のSOA化、ESBの採用など、誤解しやすい要素、用語が乱立され始めている。

 オフィス作業の支援のためのパッケージ、Webクライアントを前提としたパッケージなどから、サービス指向でのアプリケーションの作り方への転換が必要である。今までと違い、ビジネス・ロジックだけの作り方、内容で勝負しなければいけないので、真に業界を知り、ソリューションを部品化して作り出せるISVが勝つ世界であろう。

 また、小回りの効くISVが有利なのがSOAである。SOAは決してLeading Edgeな技術ではない。中規模、小規模な企業ほど変更も容易であるはずだし、投資額も少ない。

 別の表現をすると、SOAは建替え文化でなく、リフォームの文化である。米国の東海岸エリアなどの古い都市の住宅街を歩くと、100年以上使われている木造の家が多い。湿気が少ない地域が有利だが湿気が日本並みにあっても、直しながら住み続ける文化。

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