「Java 10周年」以後のSunの未来(1/2 ページ)

オープンソース版JavaプロジェクトはSunにとってどんな意味を持つのか? Sunソフトのほとんどをオープンソースにする構想は? 上級副社長ジョン・ロイアコノ氏に聞いた。

» 2005年05月13日 19時59分 公開
[Sean Gallagher,eWEEK]
eWEEK

 米Sun MicrosystemsのJavaは10周年を迎えたばかりだ(5月6日の記事参照)。そして同社は既に「青年期」の問題にどう対処するかを計画しているようだ。

 先週ワシントンD.C.で行われた四半期に一度のNetwork Computing(NC)イベントでは、Javaに関する直接的な話はあまりなかったが、Sunのスコット・マクニーリーCEO(最高経営責任者)と上級副社長ジョン・ロイアコノ氏は、同社がJava――そして同社のほかのソフトウェアポートフォリオの大半――をオープンソースの世界に解放するビジネスモデルを用意していることを明らかにした。

 Sunはこの10年、ずっとJavaを厳しく拘束し続けてきたわけではないが、非常に過保護な親だった。しかし、同社がJavaに対して行使できる支配力の程度は、先般から、特にJavaのオープンソース実装が勢いづき始めてから失われつつある。同社は直接Javaのオープンソース化には乗り出していないが、他者がそうすることにはあまり抵抗しなかった。

 まずはマーク・フルーリ氏のJBossだ。これは昨年7月にJ2EE(Java Enterprise Edition)互換の認定を受けた。それからObjectWebのオープンソースJ2EEサーバ「JOnAS」。Sunはこれを2月に認定した。

 そしてApache Software Foundation(ASF)は、Apacheライセンスの――つまり、どのソフトウェアプロジェクトにも自由に取り込める――完全なJ2EE認定の“コンテナ”(J2EEアプリケーションサーバの中核要素)を作り出すための「Geronimo」プロジェクトの開発を続けている。JBossは明らかに今オープンソースJ2EE分野で勢いがあるが、ApacheライセンスのJ2EEエンジンは、SunのCompatibility Test Kitを通らなくても単独でJ2EE互換を主張できる派生プロジェクトを多数生み出すかもしれない。

 JavaのコアであるJ2SE(Java 2 Standard Edition)を何らかの形でオープンソースにすることについて、SunとJava Community Process(JCP)の間では舞台裏でたくさんの話し合いが行われてきた。その間にASFがSunを打ち負かしてしまうかもしれない。ASF内のグループ(ASFの多数のJavaプロジェクトを傘下に持つJakarta Projectプロジェクトの議長ゲール・マグナソン・Jr.氏などが参加している)は現在、コミュニティー開発方式のJ2SEランタイムの開発を模索している(5月10日の記事参照)

 コードネームで「Harmony」と呼ばれるこのプロジェクトは、5月6日にASF Incubator Project Management Committeeに提案された。承認されれば(そしてHarmonyが多くの支持を集めるようなら)、ASFはJ2SE 5の完全なオープン実装に向けた作業部会を設置するだろう。

 互換性の保証があり、自由に再利用できるプラガブルなオープンソース版Javaが登場したら、それはSunのJavaライセンスビジネスに対してどんな意味を持つのだろうか? 私はSunのNCイベントでロイアコノ氏と話したときに、この質問を投げかけた。

 「それは『人々にとって価値のあるブランドとは何か?』という問題だ」と同氏は答えた。「人々はさまざまな理由でCokeとPepsiを買うが、これらは基本的には同じだ。エンタープライズのミッションクリティカルなアプリケーション向けには、われわれが支持するブランド付きの認定版がある」(ロイアコノ氏)

 SunのJavaに対する価値命題は、Javaの標準を「分岐」――ロイアコノ氏が言うところの、Linuxが経験したような複数の互換性のないコードベースへの分裂――させないことだ。同氏はLinuxディストリビューション間の非互換を指摘し、「同じ(オープンソース)団体が互換性に向かっていない」と語った。

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