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» 2005年05月15日 23時50分 公開

偏執狂も悪くない好きこそものの……(2/2 ページ)

[吉田育代,ITmedia]
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「今、絶好調なんです」

 一方、あるサイトの基本設計について、ある会社のブレーンストーミングになぜか私が参加していたときのことだ。熱心にメモを取っているエンジニアがいて、そのときは議事録でも作るのかなと思っていた。参加メンバーの間で、ああでもない、こうでもないと思考はとんでもなく拡散したのだが、打ち合わせが終わった時点で、彼のノートの上ではもうサイトの基本設計が完了していた。ブレーンストーミングを聞いていなかったわけではない。事の成り行きをちゃんと見守りながら、それができていたのだ。

 彼はコーディングの鬼でもあった。興が乗ったらすべてがすっとぶ。その会社の唯一の社外イベントである花見の宴に来なかった。「どうしたんだ」と社長が電話をしたら、「今、絶好調なんです」と一言いって電話を切ってしまった。社長は「こういう奴です」と笑っていた。

 大辞泉によると、一つの事に異常に執着し、病的な態度を示す人のことを偏執狂という。ここに挙げたエンジニアは、みんなちょっと偏執狂っぽい。ほんとうに病気になって社会生活が営めなくなってしまったら困るけれど、IT業界でエンジニアとしてうまくやっていくとしたら、どこかにそういう気質があった方がいい気もする。

 上司や顧客に舌を巻かせ、脱帽させる「何か」を持っていることが、この世界では信任につながるからだ。「あれだけ詳しいのだから、彼や彼女に任せておけば安心だ」と。ゆえに読者諸兄、人に「あれはもう、ビョーキだね」(あくまでITの世界でだが)と呼ばれる分野を持ってみるのはどうだろう。

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