Skype活用事例「国際電話で月10万円のコスト軽減」センチュリー特集:Skypeは企業IP電話を変えるか

海外からコンピュータ周辺機器を輸入、販売しているセンチュリーでは、台湾の取引先との連絡にSkypeを活用している。(関連特集)

» 2005年05月27日 15時50分 公開
[N+I NETWORK Guide]

N+I NETWORK Guide 5月号(2005年)より転載しています

取引先ですすめられる

 「台湾の取引先でSkypeをすすめられて、最初は『何それ? 本当に大丈夫なの?』という感じだったが、使ってみてこれはいいと思った」と、PCの周辺機器を開発・販売するセンチュリー代表取締役社長の加川博久氏は、Skype導入のきっかけについて話す。

加川氏 「やはりコストメリットが一番大きい。作業しながらでも通話できることも評価している」と加川氏

 センチュリーでは、主に海外からコンピュータ周辺機器を輸入しており、海外貿易の担当者は仕入れ先と国際電話でやり取りするのが日常業務だ。海外の仕入れ先は、台湾・香港・中国・米国の4地域で20社近くある。中でも仕入れの9割を占める台湾の周辺機器メーカーとの取引では、通話料が月額20万〜30万円以上かかっていた。

IP電話のイメージを変えたSkype

 2004年の9月に、加川氏はある仕入れ先の台湾メーカーからSkypeを紹介された。出張先のその場でPCにインストールし、音質を確かめたところ、率直に素晴らしいと感じたという。加川氏は、長距離通話料の負担を軽減しようと、4年ほど前にも「Net2Phone」をテストしたことがあったが、エコーや遅延の問題、使い勝手などの点で、固定電話の代わりにはならないという判断を下した。ところが、実際にSkypeを試して「IP電話への印象が変わった」(加川氏)。

 加川氏は帰国後すぐ、貿易担当者のPCにSkypeをインストールさせた。いわばトップダウンでの導入である。P2Pソフトを業務で利用することについて、セキュリティ面で若干の懸念はあったが、特に抵抗感はなかった。

 取引先の台湾ではSkypeを全社規模で利用する企業も多く、通話可能な環境はすでに整っていた。台湾メーカーの中には「Skype以外での通話は禁止」といってくる企業もあるそうだ。現在、貿易担当者、そして加川氏を含めた7人がSkypeを常時利用している。それ以外の地域とも、台湾ほど機会は多くないが、通話はSkypeだ。加川氏によると、月10万円程度、海外への通話料が削減できたという。なお、社内ネットワークからインターネットにはADSL回線で接続している。

通話先 各地域の取引先とのやり取りでSkypeを利用

 また、札幌にある営業所との連絡は、Skypeで内線を代用している。中古PCのリサイクル販売のため、営業所倉庫内でPCのデータを消去する作業を行っている担当者に連絡したい場合、以前は逐一電話機のある事業所に呼び出してもらっていたが、現在は倉庫内にも端末を設置して、Skypeで即通話ができるようになった。営業所内では、Skypeの電話会議で作業の進捗確認をすることもある。

 2004年末、PCにUSBで接続するハンドセット型のUSBフォンにすべて切り替えた。USBフォン同士の通話だと、相手の声が携帯電話よりはるかにクリアに聞こえるという。

USBフォン USBフォンを使えば電話機感覚でSkypeを利用できる。プッシュボタンで直接ダイヤルすることも可能

ほしい機能は050着信

 Skypeに追加してほしい機能として、加川氏は一般電話からSkypeにかけられる機能を挙げた。これについては、Skypeに050番号を割り振るSkypeIn機能の実装を待つしかない。また、営業所内で製品の在庫状況を把握する場合に、視認性のあるビデオ会議機能も必要な機能の1つである。加えて、SkypeOut利用時の料金を日本円で決済できる(現在の決済通貨はユーロ)ようにすれば、日本のユーザーにもっとなじむのではないかと語った。

 センチュリーは、Skypeを業務で利用するだけでなく、自分たちのビジネスにも活用しようと画策中である。台湾ではコンビニエンスストアでSkypeの導入キットが無料配布されており、ユーザーが急増した。そこで同社は、日本でもコンビニのルートで対応ハンドセットホンとCD-ROMを同梱したSkypeスタータキットを販売できないかと、国内の窓口であるライブドアに打診している。

 センチュリーは、携帯電話の予備バッテリなどの電子雑貨もコンビニで扱っており、流通販路を利用できる。その際、SkypeOut利用時に日本円で決済できるようなコーリングカードをキットに同梱するというプランも持っている。

株式会社センチュリー

設立:1987年1月
資本金:3億200万円
本社所在地:東京都台東区台東2-28-5
従業員数:160人
事業内容:コンピュータ・モバイル・電子雑貨機器などの開発、製造・販売

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