「事件管理プロジェクトは前進中」――FBIのCIOが語る(1/2 ページ)

事件管理システムの「Virtual Case File」プロジェクトを3月に中止した、とFBIのCIOが6月8日に発表した。

» 2005年06月09日 18時25分 公開
[IDG Japan]
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 米連邦捜査局(FBI)は、事件管理システム「Virtual Case File」(VCF)の目標の約80%を達成したが、この4年計画のITプロジェクトを3月に中止した。FBIのCIO(最高情報責任者)が6月8日に発表した。

 FBIは、VCFプロジェクトの中止に至るまでに1億400万ドルの資金を投入。VCFには1億7000万ドルの予算が計上されていたが、数百カ所に及ぶ問題が2004年3月に見つかったことで中止になった。

 VCFの目的は、FBI職員がテロ捜査など進行中の事件に関するデータを迅速に共有できるようにすること、そして全米のFBI捜査官が効率的に文書を検索したり、さまざまな情報源からの手がかりを結び付けたりすることを可能にすることにあった。

 しかし、FBIのザルメイ・アズミCIOによると、今年3月にVCFプロジェクトを中止したが、VCFで目標としていた機能の多くを既に実現したという。同氏は記者会見で、FBIは機密度の異なる情報を扱う3つの事件管理ネットワークを配備したこと、6万台のコンピュータを配備したこと、そして過去の事件データの60%を「Investigative Data Warehouse」と呼ばれるデータベースに統合したことを明らかにした。この60%には、テロ捜査に関連するすべてのデータが含まれるという。

 FBIの職員が匿名で「VCFは経費の無駄遣いだ」と指摘したことがマスコミで報じられたが、FBIはこのプロジェクトから「多くのことを学んだ」とアズミ氏はいう。VCFプロジェクトは、Science Applications International(SAIC)に発注された。

 「FBIはVCFへの支出に対してどのくらいの価値を得たのか」という質問に対して、同氏は「その価値を金額で表すことは可能だ」と答えた。しかし1億7000万ドルというプロジェクト予算は不十分だったという。スタッフのトレーニング、メンテナンス、災害復旧などに必要な費用が含まれていなかった、というのが理由だ。

 アズミ氏によると、VCFの中止後にFBIが最も必要としているのは、報告書の自動ファイリングシステムだという。FBI捜査官は今でも、紙の報告書を提出して上司のサインをもらう必要があるが、「Sentinel」と呼ばれる大規模なプロジェクトがこの状況を変えるだろう、と話す。

 アズミ氏は記者会見で、Sentinelに関する説明を繰り返した。FBIディレクターのロバート・ミューラー氏は5月、議会の委員会で同プロジェクトを説明した。

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