「事件管理プロジェクトは前進中」――FBIのCIOが語る(2/2 ページ)

» 2005年06月09日 18時25分 公開
[IDG Japan]
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 ミューラー氏の5月の説明によると、Sentinelプロジェクトならびに事件管理システムは、FBIの既存アプリケーション(犯罪情報の管理や銀行強盗に関する統計データの管理に使用するアプリケーションなど)を置き換えることになるという。アズミ氏は、8月までにSentinelの第1フェーズの入札を開始する計画だ。Sentinelプロジェクトは、エンタープライズIT計画を目指したFBIの取り組みの一環であるとされている。

 FBIによると、同局のエンタープライズITアーキテクチャは、戦略的IT計画、ITスタッフのトレーニング、幾つかのITガバナンス委員会などで構成されるという。Sentinelでは、自動ワークフロー機能、文書検索機能、事件管理システムなどのツールの開発が計画されている。「この新規プロジェクトにより、FBIは機密文書に含まれる機密扱いでない情報を、ほかの取締当局に提供できるようになる」とアズミ氏。

 「向こう5〜6年間で、レガシーアプリケーションを最先端のプラットフォームに移行する予定だ。機能という点に関しては、VCFとSentinelの間には大きな違いがある」(同氏)

 アズミ氏は、VCFとSentinelに関する最近の報道にも異議を唱えた。U.S. News & World Report誌が今週、「新たな事件管理プロジェクトは7億9200万ドルの費用がかかる」と報じたことに対し、「そのような数字を耳にしたことがない」と同氏は反論。Sentinelプロジェクトに関するFBIの見積もりについては、そういった数字を公表すると入札プロセスに影響が出るので明らかにできないとした。

 さらに、米下院歳出委員会の調査官が作成した機密報告書に基づく今週の報道の内容にも異議を唱えた。報道によると、2003年12月にSAICがVFCを納入した後、FBIはソフトウェアパッケージに400カ所の問題を発見したことを同社に告げなかった。

 アズミ氏によると、FBIはSAICと共同で問題を洗い出す作業を行ったという。「調査官の報告は間違っている」と同氏。Washington Post紙の報道では、VCFプロジェクトが中止になる前にFBIは何度か警告を受け取ったとされているが、FBIとSAICがプロジェクトの見直しを行ってからわずか2カ月後の2004年5月ごろに、同氏はプロジェクトの作業を中止するようSAICに要請したという。FBIはその後、コンサルティング会社Aerospaceにプロジェクトの調査を委託した。

 「FBIはVCFプロジェクトから何を学んだのか」という質問に対しては、「1つの重要な教訓は、大規模なITプロジェクトは段階的に実施すべきだということだ」と答えた。Sentinelの第1フェーズは、FBIが落札業者を決定してから約1年後に完了する予定。4つのフェーズにわたって実施される同プロジェクトの期間として約40カ月を見込んでいるという。

 「またFBIでは、約80名の職員にプロジェクト管理者としての認定を受けさせる予定であり、Sentinelプロジェクトの監督に当たる経験豊富なプロジェクト管理者を米中央情報局(CIA)からスカウトした」とアズミ氏は付け加える。

 アズミ氏によると、FBIは第1フェーズを開始する前に、Sentinelに関してベンダー各社から意見を求める方針だ。FBIはまず何が必要なのか分かっているが、ベンダーがより良いアイデアを持っている可能性もあるという。「われわれはイノベーションを促進したいと考えており、彼らが提案を持ってくるかもしれない」と同氏。

 アズミ氏は、Sentinelプロジェクトの大部分で既製の市販ソフトウェアを利用するのが目標だとするFBIの以前のコメントを繰り返した。しかしFBIと業者がシステムの一部を開発する必要もあるようだ。

 「1つの製品では、FBIが事件管理システムに望んでいるすべての機能を提供することはできない」(同氏)

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