6月6日から10日にかけて幕張メッセで行われたInterop Tokyo 2005。各社のさまざまな展示を裏で支えるShowNetの設計とその目標をNOCメンバーに聞いた。(関連特集)
Interop Tokyoの出展各社に対するネットワークインフラであるとともに、その年ごとの最先端のネットワークの姿を示し、次なる挑戦の場でもあるShowNet。今年は、ネットワークの使われ方の広がりを踏まえ、シーンごとに異なるネットワークの姿を示そうとしている。前々回、前回に続き、そのコンセプトを、ShowNetの設計、構築、運用を担うNOCチームのメンバーに聞いた(Interop Tokyo 2005会場で配布された「ShowNet Magazine」より転載)。
ITmedia アプリケーションの部分では、今年はShowNet TVに力を入れるそうですが。
沖本 最新のネットワークテクノロジとして何を見せようか、ネットワークの上でどういうものを見せようか……と考えたとき、ブロードバンドだからこそやはり映像配信やストリーミングが生きてくると考えました。
もっとも、映像配信、ストリーミング配信はこれまで何年もShowNet TVでやってきたことです。基調講演や会場内のスタジオで制作する生番組などをIPに変換し、ShowNetを通じてDVTSというデジタルビデオ伝送技術を用いて会場内に配信したり、Windows Media PlayerやRealPlayer形式によるインターネット向けのストリーミング配信を行ってきました。昨年はそれに加えて、地域とのコラボレーションということで、地方のCATV局との間で双方向の生中継番組を制作し、CATVをはじめ、会場内外へ配信するということにもチャレンジしました。
今年の大きなチャレンジは、非圧縮HD伝送です。IPネットワークの上に非圧縮のHDのデータを載せるとなると、必要な帯域はだいたい1.5「G」bps。通常見られるストリーミング方式だと300Kbpsクラス、よくてもせいぜい3Mbpsくらいだと思うんですけれど、放送素材を非圧縮で乗せていくとなると1.5Gbpsぐらい必要なのです。そういったコンテンツをきっちり通せるんだということをShowNetの中で見せていきたいですね。また、非圧縮以外のハイビジョンクラスの映像伝送を配信することにも挑戦していきたいと思っています。
今年のShowNetのテーマは「インターネットの縮図」。ShowNet TVブースではさらに「縮図の縮図」を目指して、映像配信をベースに、IPへの変換や配信の部分をご覧いただけるよう構成を考えています。通常のインターネット放送でみられるようなストリーミング配信だけでなく、DVTSやマルチキャスト、放送局でも使えるようなハイビジョンの映像といったところも見せていければと思います。また、近未来の家庭を想定して、テレビの上にセットトップボックスを載せるという形態もやろうかと考えています。
ITmedia しばしば言われる「インターネットと放送の融合」を見せていくということですか?
沖本 そうですね。IPの上での映像伝送というのは、もうテレビとどこが違うか分からないレベルに来ています。その、IPネットワーク上でどうやって配信しているかというところを見せていければと思います。また、今年も昨年同様に外部のCATV局と連携して、CATVと会場外部でコラボレーションしての番組提供も検討しています。CATVさんに対してDVTSで配信し、普通の家庭でShowNet TVプログラムが見えるようにする、という取り組みもやりたいなと思っています。
山口 放送と通信の融合というコンセプトをどう消化していくかというとき、放送側にしてもISPにしても、どっちにしても立ち位置が偏っているんじゃないでしょうか。「通信が放送を食べるのか、放送が通信を食べるのか」というモデルじゃなくて、もうちょっと違うイメージを提供しないと……。ネットワーク基盤を使ってテレビ放送を流しても、それはただテレビというサービスがインターネット化されるというだけであって、放送と通信が融合するには、新しい立ち位置が必要でしょう。ShowNet TVというのは、「放送と通信が融合してくるときの出方、新しい形ってなあに」っていう、そこに対するチャレンジだと思います。
中継車出してプロのカメラマンが張り付いてやっとできていたことが、ほいっとネットワークにつないでできるようになる。これってすごいことですよね。これがパワーユーザークラスに来たときにどうなるのか。これって、Webが果たしてきたことと出版業界の関係によく似ていると思うんですよ。同じようなことが、多分、通信と放送の技術の融合過程で起こってくるのではないかと思います
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