活気づくBI市場、オラクルは「リアルタイム」を武器に挑む

業務システムが生み出す情報を経営の力に変えるBIに企業が目を向け始めている。さまざまな専業ベンダーらがひしめくこの市場にオラクルも「リアルタイム」を武器に本格参入する。

» 2005年06月23日 09時15分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 日々の業務システムが生み出し、蓄積しているデータを情報とし、生きた力に変えていくことを多くの企業が課題として抱えている。確かにERPに代表される基幹業務システムは、企業のビジネスプロセスを変革し、無駄を削ぎ落とすことに貢献したが、競合に先んじて事業を成長させるという点ではその限界も見えてきている。

 米Information Week誌の調査によると、実に4分の3もの経営層がIT部門に対して、業務上必要な情報を入手するための時間を短縮するよう求めており、9割近いユーザーが情報収集の時間が短縮できれば、競合上優位に立てると考えているという。

 しかし、残念ながらこうしたニーズには従来型のビジネスインテリジェンス(BI)では対処できない。さまざまな業務システムから必要なデータを抽出するのに時間とコストがかかるだけでなく、BIは目的に応じて部門ごとにデータマートが構築されることが多く、結局のところデータがばらばらのままだからだ。

 OLAP(Online Analytical Processing)のリーダーであるコグノスがエンタープライズワイドのBIやその先にあるCPM(Corporate Performance Management)を掲げたり、業務アプリケーションの雄であるSAPが現場の業務担当者に判断材料を提供する「SAP Analytics」を発表したのもこうした課題を解決した顧客らの声が背景にある。

 データベースの雄であるオラクルも2月25日、BI導入のコストと複雑さを軽減すべくデザインされた「Oracle Business Intelligence 10g」ソリューションを国内でも出荷開始した。これまでにもオラクルはBI製品を販売してきたが、Business Intelligence 10gは、企業が情報を生きた力に変える切り札ともいえる。アドホック検索、レポーティング、および分析のための機能だけでなく、ETL(データの実行、変換、ロード)、管理、セキュリティ、およびポータルの機能も盛り込まれた包括的なソリューションだ。しかも、これらBIに必要なすべてが利用できて1CPU当たりのライセンスは262万5000円と戦略的な値づけとなっている。多岐にわたるこうした機能ごとに異なるベンダーの製品を組み合わせるのと比べ、コスト面での優位性も明らかだ。

 「データは企業経営の宝。オラクルのBIソリューションであれば、業務データベースとデータウェアハウスを同じOracle Database 10gに構築できるため、リアルタイムの意思決定支援が実現できる」と話すのは日本オラクルでOracle Business Intelligence 10gを担当する枇榔貴子マネジャー。

 オラクルのBIソリューションを導入する日本ケンタッキー・フライド・チキンでは、需要予測との対比、キャンペーンに対する販売動向、新商品の立ち上がり動向などをリアルタイムで把握し、迅速なアクションプランにつなげるといった、日々の業務と密接に結びついた仕組みとして活用されているという。

 同社では6月29日から東京ビッグサイトで開催される「データウェアハウス&CRM EXPO」にも出展し、展示フロアでは単にこうした「リアルタイムBI」をはじめとするメッセージだけでなく、日本ケンタッキー・フライド・チキンのような事例をベースに情報をどのように経営に活用していくのかを伝えたいとしている。

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